第19章 アフター・ダンスパーティー
そこには旦那さんであり、年上であり、28歳であり、皆の担任であるはずの男からの高速鬼返信。その内容はとても酷いものだった。
"やだーーーーーーー!!!!"
"なんで僕をひとりで留守番させるの!!??寂しいに決まってるじゃん!!!!"
"昨日も一緒にお前とご飯食べられなかったんだよ!?なんで僕をこんなにも寂しい思いさせるのさ!僕がうさぎだったら死んでるからね??むしろ帰ったら死んでるかもしれないんだよ!??"
"ハルカは良いよ?野薔薇と行くんでしょ?寂しくないよね?でも僕はどうすんの??ねえ?僕は?寂しいんだよ?寂しんぼの僕を取り残すなんて残酷だね??"
"返信来ないね?暗黒微笑してないよね?今さ??"
"悟は寂しいと死んじゃうんだよ?放置しないでよ……ぴえん"
ちら、と野薔薇を見る。
彼女は渋柿でも齧ったような表情をしていて思わずはは…、と私は苦笑いしてしまった。大変お見苦しいモノを見せてしまって申し訳ない……。
「ここまで幼児返りする大人はきめえな……」
『うわ、野薔薇さん辛辣ゥ~……まあ、これ普段からなんですけれど…いつもより暴走してるかな~?』
マジかよ、と言わずとも表情が引いてる野薔薇。そんなやりとりをしていたってメッセージ画面にシュポ、シュポと軽快な音と一緒に地獄の返信が投稿されていく。
それを野薔薇と共に黙って見ていた。悟の暴走が止まらない。
シュポ…、とちょっと間を開けてまた悟からやってくる。
"でもまあ、別に行きたいなら行っても良いよ?"
"奥さんのワガママを受け入れるのもいい旦那さんの広い心だし"
"僕、スパダリだし"
「あれ、急に心変わりしたわね?良かったじゃない?」
画面を見ながら言う野薔薇。こんな担任の悲しい一面を見せてしまい私は恥ずかしい……と苦笑いが出る。
『女心と悟と秋の空…っていうもんね、ころころ変わるよ、あの人』
「よく一緒に居られるわね~…」
離れた席、虎杖達も私達の悟とのやりとりが気になるみたいで。
「で、ハルカは結局先生に許可貰えたん?」
『ん?あー…今ねー……、』
シュポ。シュポ、シュポ……シュポ。軽快な音と私からサァー…と血の気が引く感覚。