第16章 覚醒のトリガー
「もしもハルカが起きて体に異変があれば…。
例えば胸が痛いとか体が痺れるとかろれつが回らないとか……自分で急いで治すように言っておいて。私よりあんたの方がハルカの側にずっと居るでしょ?」
服の首元に手を伸ばす硝子。なにしてんだ?着替えか?と眺めていた。寺田の刀を当てられてたって事もあってちょっとした血が彼女の服を汚してる。
生きてる。間に合ったんだ、良かった。
「はぁー…良かった……」
式髪のように分かりやすいわけじゃない、体内という見えない所だからこそどれほど危険なのか俺には分からない。ハルカの婆さんも警告してたのに、ここまで強い反動が出るなんて。
確かに触って相手を瀕死にさせたり、拷問紛いな事出来るのは強力。春日家ならその点についてはどうしてもデメリットをつけたくなるんだろうなー…。
硝子の手が首元から胸元に動き、止まって俺を見る。その視線はゴミを見るような視線で。
覗き込むように硝子やハルカの上半身を見る。
「…どったの?」
「…チッ、」
「え~?なになに?」
よく見りゃ硝子はちら、とハルカの下着を見てる。
あー、そう言えば昨晩の着替え、えげつない下着を着せてたんだっけ。ハルカの着ていた下着も着替えも千切って、すンごいの着せちゃってた。朝もムラムラしてもっとってせがんだっけ。
京都に着くまで、いや着いてからもたまに鳴る小さな鈴が昨晩の熱い夜を思い出させてた。
着たままにセックスが出来る下着を着用した状態でするのはまた違うスパイスがあるんだよね。一番は何も着けてないのが全身の柔らかさを堪能出来て良いんだけれど。
「……変態趣味を妻に押し付けんな、クズ」
「…あ?……あー…ハイハイ、着て貰ったやつねー、うん…だって死にかけるなんて思わないだろ?帰って来てからも続きをさ、」
「とにかく個室に連れてって。個室だからってヤんなよ、変態が。旅行帰ってからも盛り気分抜けないといい加減ハルカも逃げ出すぞ」
はいはい、と返事しながらに。
呆れた様子の硝子は報告書を書くためにデスクへと向かったのを見て、俺はハルカを横抱きにして個室へと連れて行った。