第15章 縛りの為の呪物
満足出来ないからそうしてるんじゃないのかって。
好きだからこそ、愛してるからこそ捨てられたくないという恐怖が湧いてくる。
今している行為はただ気持ち良いからなのか、この人を繋ぎ止めたいからしてるのか。分からなくなってきて、悟の腿の上に座った。
「……捨てるワケがないじゃん、絶対に何がなんでもオマエを捨てる選択はしない。こんなにもハルカに夢中だってのに…」
止まった私の腰を掴み、下から突くように悟が動きを繰り返してく。ぐちゅ、ぐちっ…と出入りを繰り返す互いの性器。さっきの悟がたっぷりと出した精液でとてもスムーズで、身体の神経がそこに集まっていくようなイキそうな感覚がゆっくりと近付いてきてる気がする。
悟は変な冗談を言うなあ…、と言いたげに小さく笑って私の頭を引き寄せるように深く口付けた。しっかりと私を離さないように引き寄せる力が本気なんだって思わせてくれる……捨てたりしないって。
ゆっくりと離れる唇。腰の動きは互いに止まっていた。
「絶対に……ハルカを捨てるワケ無いだろ……そこはさ、俺を信じて欲しい」
いつもヘラヘラしてるのに真剣な顔だから少し戸惑う。真剣だからこそ嘘は言ってないって分かる。
けれど……。
私の中のずっと隠していた想いが溢れ出してくる。
『ほんと、に…?私、だって呪術で祓うにそんなに力も無いし、治療くらいしか誇れない。式髪を伸ばしてもサポートをするばかり、それらは全部……悟には役立ってないでしょ?』
一緒に生きるに悟を支えられる力が無いって思ってる。
誰かの脚が、腕がもぎ取られてそれを簡単に回復は出来る。誰かの役に立ててる自信。
……けれども悟には?彼にはどう役に立つ?
彼は自身で怪我を治療が出来て、まず強すぎるから怪我をしない。怪我を治した事はあったけれどあれは試しに私の術を体験したいというのと、領域から出るのに集中する間の無防備な時の怪我程度。役に立ててる気がしてない。
それどころか、何度も何度も悟に助けられている。足を引っ張ってる私じゃいつかは手放されて捨てられてしまう。悟はあっさりと切り捨てる事が出来る人だって私は知っている……。