第15章 縛りの為の呪物
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ピピピピ…と単調なアラームが鳴る。ええ…もう朝とか寝足りない…睡眠不足じゃん……、と手を伸ばして止めた。
なんだかまだ湿っぽい気がする髪を少し手で梳きながひとつあくびをした。カーテンから溢れる白……ここは南国、きっと外は目を潰されそうなくらいにとても眩しいだろうし、快適な温度で保たれた室内よりもずっと暑い。
……何回悟がイッたか、私はイかされたか分からない程にベッド上では乱れてシーツは行為中にも察してたけれど今も違和感。色々と…汚している。最後にバスローブを着て、薄手の掛け布団をかけても見えない所は捲ればきっと分かる。
後で治すけれど腰が痛いし悟は睡眠不足になるほどの行為を有言実行してきていた。
眠いし、目の前ですやすやと気持ちよさそうに寝てる悟。見てるだけでこっちもなんだか幸せになるわ……二度寝したいけれどそれは東京だったらの話。ここは沖縄、二度寝の時間が惜しい。
無理に叩き起こさず、そっと寝ている目の前の彼を揺すると、伏せられていた白い睫毛が持ち上がる。
『……おはよ、悟』
「ん、ハルカ…おはよー…あっ、キャラ忘れてた。おっはー!」
『寝起きから元気キッズかよ…』
こういう時にまで朝からキャラ作りしなくても良いのにね。なんて思いながらも身を寄せ合って静かに笑いあった。
ちゃんと髪を乾かさないものだから、悟も私も髪の毛がとんでもない事になってる。
上半身を起こし、くすくすと笑いが止まらなくなった状態で自分そっちのけで互いに笑い合う。
「オマエのそれ、芸術的じゃね?何?ワイヤーでも生えてんの?」
伸ばす手は撫でるもそう簡単には直って無いみたいで撫でる度に悟はケタケタ笑ってる。
ちょっとむっ、としたけれどそんなの吹き飛ぶくらいに目の前の悟の寝癖が凄い。なにがって全体的もふもふしてるけれど、芸術ポイントが高いのがミミズクみたいににゅん、と二箇所髪が持ち上がってるという事!
『そういう悟こそ……ぷぷっ、サリーちゃんのパパ?ウランちゃん?ぷっ…!ド、ドラルク?それともギーマでも目指してんの?』