第15章 縛りの為の呪物
『トータル50枚以上貯まるくらいに婚姻届渡す前にその質問するべきだったと思うよ?』
「えっそんなに送ってたっけ?」
『一日一枚なワケないでしょ、悟が送るんだよ?複数枚仕掛けた日がほとんどです』
ちょっと苦笑いして、自分のやった事を思い出しているようだった。その一枚一枚はすごく丁寧にかかれていて証人は大抵が伊地知だった。脅したんだろうな……脅すの癖になってるんじゃあないのかな…。
時に七海、後半になれば硝子や夏油まで出てきてそういうバリエーションはどうなんだと思ったけれど。長引いたら書く量も増えるし誰かしら証人ボイコットしてくる所だったのでは。
ふう、と小さく息を吐いて悟を見上げる。
『私は後悔してないよ、悟と一緒になるって事』
「ホントの本当に?
ほら、僕…呪術界の御三家で無下限呪術を相伝してしかも六眼まで持っちゃってるパーフェクトグッドルッキングガイで……、しかも特級呪術師で天才かつ教師という勝ち組ポジションで男女共にモテ過ぎるし料理もゲームもキミとのえっちもなんでも出来ちゃう、更に『いい加減にしろー?』アッハイ」
自分を語りだして止まらない悟を一度ブレーキを掛けさせて、よく回る舌がようやく止まった。
一度肩を竦めて落ち着くようにため息をつく悟。
「……ふーっ、そんな僕だけれどさ。色々とね、考えたワケ。かっこよく行くか、シンプルにするか、キザったらしくいくかふざけて笑いを取りながらにするか」
『何?何を言いたいのよ、悟は』
少し眉を下げまた少し考えるかのように海側…地平線に視線を向け、私に視線を戻すと悟はくすっ、と笑う。
「フレンドリーな僕でいきたい所だけれど、ここは素で行こうかなって……」
『は、はぁ……、』
おほん、とわざとらしく咳をする悟。
「いいかな?五条ハルカ君。一生に一度しか言いませんからよ――っく耳をかっぽじって聞いて?あっ僕の膝枕で耳かきしてあげても良いんだけどする?」
『しねえよ、流石に耳垢は自分でやるわ』