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【呪術廻戦】白銀の鎹【五条悟】

第2章 視界から呪いへの鎹


6.

ただ、無言で玄関方面へと進む。
一度私が悟さん、と口を開いた所で指先で静かしろと言いたいのか、しーっと口元に手を当てて見せられた。きっと静かだからこそ聞き耳を立てられるかもしれないから、この恋人って設定を父への理由の他にここでも通すつもりなんでしょう。その辺りを突っ込まれて聞かれないようにとか。祖母にバレたら確かにマズイ。

玄関から庭、そして門、外。更にその先に散歩って名目で歩きながら、肩からようやく手が離された。
そのまま、その手で目隠しを取った後にサングラスを取り出して掛ける悟。

「うん、はい喋って良いよ」

『色々と突っ込みたい事が多いんだけれど、その……五条家って何?』

やたらと祖母が気にしていた、五条という家系。
私はそれを知らなかった。

「呪術界御三家のひとつだよ。五条・禪院・加茂ってのがあって僕はその五条の現当主なんだよねー」

『当主……』

なんだか良くわからないけれど、とにかく凄い所の当主らしい。へー、と声を漏らしてしまった。
そういう……当主って立場だから色々知ってるんだろうな。私の知らない春日について聞こう、と悟に迫った。

『その御三家の当主が、なんで春日の…血を引く私に?
きっと放っておいても良いレベルだったんじゃない?私にとっては悟さんが恩人みたいなものだけれど…』

よく分かってないけれど、きっと大したことの無い一族なんだろう、春日家って。もうふたりしか居なけりゃ価値もないんじゃないのかな。
この屋敷はきっとたくさんの人が居たんだろう。でもその人達はもう居なくて、こんなにも静かすぎる。風前の灯の一族だった。

静かな中、大きな声ではなく落ち着いた声で悟は話す。

「春日一族ってね、特別なものなんだよ。昔からどの一族にも最低ひとりは欲しがられたんだ。きっと五条家も昔お世話になったのかもしれないね。
呪いを呼び寄せるから囮にしたり、ダメージを負ってる間に他の術者が安全圏から祓ったり出来るし、何よりも本分としてね……、

"呪術で春日の者が他人のダメージを吸う"んだ。だから重宝された。ヤダねぇ、やだやだ。盾にされて人の怪我も吸い取らされて髪を真っ白にさせられて死んじゃうなんてさ。キミの今の名字が親父さん譲りで良かったよ、バレてたら攫われて吸いきれない程に式髪消費されてた所だよ?」
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