第7章 このリセットは強くある為に
「だからもう、あの婆さんに怯える事もないよ…って怯えちゃいないか!」
『怯えちゃいないよ、あのブリーダー気取りのババアが嫌なだけ』
とりあえず明日の朝軽くシャワーだな、と汗の引いた身体を擦りながら悟に耳を傾ける。
悟は床に落ちたお互いの下着を掴んで、私の下着を突き出す。それを受け取って私は身に付けた。
「その点についてもね、ハルカとたくさんえっちしておくから子孫については心配しなくて良いよと伝えておきました!」
オレンジ色の薄明かりではっきりと分かる、大変良い笑顔。その笑顔は良くないぞ。
『不安でしかない!絶対悟、野球チーム作れるくらい産ませますとか言ってそう!』
言うのは簡単、でもそれを孕むのは私って事だろ。上下の下着を着終えた私は自身の体を抱き、軽薄な笑みを浮かべる悟からちょっと体を引く。パンツを履き終えた悟は掛け布団を掴んで中に入れと手招いて誘ってる。
会話をしながらではあるけれど強張った体が一気に快楽へと解き放たれた後だ。
身体は軽くだるくて眠気もきている。そして相手が少しばかりいつもよりも愛おしい。誘われるままにシングルベッドという狭いベッドの上、一緒の布団に入った。触れ合う少しべとつく身体、激しい運動の後の少し高めの体温。ちょっとだけシャワーの後なら心地よかったろうにと思うけれどこれはお互い様だから仕方ない。
悟はふふん、と鼻で笑ってる。
「野球とは言ってないよ、目指すはサッカーチームとは言ったけれどねっ」
ふぅ、とひとつため息を吐いて布団で自分でもアホらしいなと思うようなピロートークが続く。
悟はちょっと眠そうだ。手を伸ばしてその頬を撫でた。
『……その辺良く知らないけれどどっちが何人チームだっけ?』
「野球は1チーム9人、サッカーは正解はないけど11人とか」
『何?悟はビッグダディでも目指してんの?』
「うん?それもいいねー!何でも出来る僕だからね、ビッグダディにもなっちゃおうか?種蒔きなら僕に任せな!」
『私の腹を休ませろ』
……そんな未来予想図に不安ではあるけれどそれって私を捨てないって事だよね?何度もこうやって愛してくれるって事なんだよね?
もぞもぞと少し潜り込んで私にくっつく悟の頭を撫でる。うーん、この一度で二度楽しめるツーブロックよ……。