第6章 "愛"も止まらない!
口を濯ぎ終えても携帯に連絡は無いし、物音はしない。完全に寝ているな、あいつ。お風呂上がったら向こうの部屋に様子を見に行ってみよう、と私は衣服を脱いでいった。
下着とか洗濯機に突っ込んで、浴室へ。今日の疲れは今日のうちに取りたいから湯船でストレッチでもしてようかしら。
食器用スポンジではなく、ボディタオルを揉めば爽やかな桃の香り。ボディソープもそろそろ詰め替え買わないといけないね。自身をその白い泡でふわふわと包んでいく。
……しかし連絡を入れたとは言え、もしも起きていて私の部屋に来て待たれるのも。ゆっくりお風呂に入るのは断念してさっさと上がるべきなのかな。
身体を洗って泡を流そうとお湯を浴びた時だった。
ガチャ。
がちゃ?部屋は私ひとりしか居なかった。となるとこの音は…。
嫌な音の方向を向いてしまった。
「あ…っ、以外と出てる所は出てるんだねー!」
『……何開けてんのっ!?』
浴室の椅子に座っていた時だった。数秒前なら泡が着いていたのにそれらを流してしまった素肌。それを薄めのサングラスを掛けた部屋着の悟に見られてしまった。
"見られた"と気がついた瞬間に腕で胸元を隠したものの……!
肝が浮くような感覚と身体を隠しながら縮こまる私。悟は両手で顔を隠し、目元の指は開けてしっかり見ていくスタイルだ。
「きゃー!ハルカさんのエッチー!」
『こっちの台詞!なんでドア開けてんのっ!締めて締めて、早く締めて!』
顔に当てた手は降ろし、私に目線を合わせるように脱衣所でしゃがむ悟はにっ、と笑った。
しゃがみ方は田舎のコンビニでたむろするヤンキーの様で、そのしゃがみ方とその無邪気な顔が恐ろしいとかよりなによりもムカつく。しっかりとメッセージ送ったのに浴室周辺どころかピンポイントで訪問した挙げ句、ドアを開けてしっかりと裸体を見られた。
悟はドアを開けたままに無邪気な笑みを私に向けた。
「ねっ!一緒にお風呂入らない?」
『入らない』
「そんな事言わずに~…入ろ?」
『入らない!』
無邪気な笑みは真顔になり、悲しい表情でじっと見ている。