第5章 "好き"が止まらない!
突然黒い上着を脱ぎだし、中のインナーまで脱ぐ。
驚いて固まる私の前に素肌を晒した悟。そういえば肌は見てなかった、細身だけれど肉付きが良い。付くべき筋肉は付いていた。
ついでに悟はアイマスクまで取った後にこちらにウインクをしてきた。きゅん、とときめきはしたけれど、唇をキュッと噛み締め堪えた。そして自分でも分かるほどに眉間に皺を寄せている。
『なんでアイマスクまで取った…?そこも負傷していると…?目?頭?それとも両方悪いの?』
「むしろイイんだけれど?上半身脱いだら、僕のグッドルッキングフェイスも出さなきゃ勿体ないでしょ、ほら。サービスサービスゥ!」
両腕を縮こませてぶりっ子ポーズをかます悟の腕を手で軽くぺしぺしと私は払った。ムカつくのもそうだけれど脱ぐ際に見えた胸元に、悟が言っていた通りに異変があったから。
『けっ!一生アイマスクしてろ、……で、』
体に触らないと行けないのか……とちょっと嫌になりながら、悟がさっき指していた胸の中央の赤っぽい部分をまじまじと見る。
見ながら家入に質問した。
『家入さん、これ何でしょうね、一点だけ強く突かれた感じの打撲痕というか…』
「呪霊との戦闘で隙でも見せたか?五条にしては珍しいな……反転術式でも無理だからハルカを頼りに来たという訳だな?」
位置的に他の箇所に骨折等ないかのチェックで触診をする。痛がる素振りは見せない。
赤みのある場所は顔を少ししかめて"痛い、サディストめ!"と罵られたので舌打ちして別の箇所を触れたけれど他は大丈夫のようで。
「まあ…普通に治せば良いだろうな」
『はい』
打撲痕の側に指を数本、添えるように触れて悟のダメージを吸う。赤みがどんどん消えていく。
些細な怪我程度だった、どこかで呪霊に不意打ちでも食らったんだろうな。
元の肌色となった場所をぐいぐい触れて、何もない様なので近くのベッドに放り投げてる上着とインナーと、アイマスクを手取ってインナーから悟に手渡す。
悟は随分と嬉しそうににこにこしていた。片手でショリショリのツーブロックの後頭部を掻いている音が聞こえる。
「いやぁー、工事現場の足場のさ、単管パイプにぶつかっちゃってさー?反転術式で治しても良いけど僕、天才だからあまり怪我もしないし、ハルカの治療を受ける事ないのは損だよなーって思っててさ!」
『「は?」』