第5章 "好き"が止まらない!
流されて身を委ねてちゃいけない。私は私をしっかりと守らなくちゃ。首をブンブンと振るとひとつ結びの髪が悟にぺしぺしと当たっている。
私は誘いをきっぱりと断ることにした。
『し・な・い!』
「ちぇー、ケチー。じゃあさ…着替える前の服。着てる服体のライン主張してたじゃん?なかなかな…おっぱいだよね。だから普段からそういう目で見られないような服着てるの?ねぇ、何カップ?服越しでも良いから今揉んでもいい?」
『駄目です』
「キミは本当にケチだな!逆に何なら良いの!?」
すすぎ終えたものを食器乾燥用の籠に入れて、濡れた手を拭いた。
何が良いって言われても、何が良いんだかわかんない。コッチが聞きたいレベルだった。
動きづらい程に密着されて、乾拭き用のフロア用モップ(化学繊維のペーパーが使い捨て出来るやつ)でさっさと掃除を始める。
後ろに張り付く悟はペタペタと足音を立てて着いてきていた。
『……何って、そうだなぁ…こう、悟がひっついてるのは嫌いじゃないけどそういうのじゃ駄目?』
触れている安心感。こんな時間じゃないならばただじっと触れているだけでも私は好きだけれど、今は一日の終わりが近付く時間。
「触れるだけじゃ物足りないけど、まあ…いっか!」
直ぐ側から聴こえるのは明るい声色。
いいのか。私は動き辛いけれど。
割と広めの寮の一室、どこまでもどこまでもぴったりとくっつく悟はフフ、と笑っている。
「やっぱりキミにこう触れてると安心するね。今夜もお布団にお邪魔しよっと。良いよね?よく眠れるんだよねー」
『いつも通りなら良いけれど』
だいたい私が抱き枕になっている状態を差している。つまりそれ以上はアウトと言っているわけ。
"いつも"を越す時があればそれは身体を許す時だ。悟は首筋に摺りつきながら言う。