第5章 "好き"が止まらない!
「好きで、好きで、ハルカの事で頭ン中いっぱいでー、触れたくて、キスしたくて、一緒に眠りたくて。
僕はさー…ただそこに居るだけでも女の子が寄ってくるんだよね。だから人から向けられる感情には慣れてたんだよ……
そしていつも一方的に振られるけれどねっ!」
『……ははっ』
こういうタイミングで何を言い出すんだよ、そういう所だよ、と言いたいのを堪える。
「でもね、ハルカだけは近くにいても僕の元に来なくて、それなのに僕の頭の中にはキミで一杯で。待つんじゃなくて追いかけたい。感情を向けたい相手がキミだったんだ。
ハルカ、あのね…」
『…何?』
ここまで言われればなんとなく予想がついた。
「ふたつのもしも。もしも、なんて言葉はナシ!もしもじゃなくって本当の事なんだよねー、僕はハルカが好きなんだ!
今更好きって僕が伝えてもキミは僕の事をまだ好きで居てくれてる?」
私はそっと右手を自分の顔まで持ち上げる。左手はバッグがあるから。
そして右手の甲が濡れる。目元を拭ったから。
『は?なに…?私は悟の事を好きで居ても良いの……?』
肩の手は滑るように背に回されて、私は悟の胸板に顔を埋められてしまった。
私の鼓動がそうであるように、目の前の胸板はどくどくと力強い鼓動を感じさせる。
「うん、僕もハルカが好きだよ、愛してる。今度こそ仮の恋人じゃない表面だけじゃない…本気の恋人になって、ハルカ」
少し力を入れられてぎゅっと抱きしめられた腕の中。私はうん、とうなずいて悟の背に初めて腕を回した。