第5章 "好き"が止まらない!
刺さった場所から吹き出る炎。なるほど、"怒髪天"も触れた呪いには炎が吹き出るんだ……。
私の家の時の……私の足に触れた手の呪いは燃えてた。少し間を開けて家に帰った時に現れた呪いも掴めば焼けていた。反転術式の"怒髪天"で呼び出した髪にも相手を燃やすことが出来る。
まだ、非術者に見えるかとか分からないけれど。術式での髪は悟が試しに触れても熱は出ていなかったから、人には無害なのかも知れない(刺さったり叩いたり出来るけど)
一匹呪いを祓った所で電車が来る。私はそれに乗って目的地へと向かった。
駅から出て少し歩いて……やって来たのは合コンの行われるバー。予約済みで店舗前に数名が立っている。キョロキョロと首を伸ばして見ている人達。女の子3人が見える。ああ、時間通りだけれど私は最後だったみたいだ。
「あっ、ハルカ?久しぶりー!」
『久しぶり。元気にしてた?』
学生以来の再会だ。片手を上げてちょっと手を振った。
少しおしゃれなバー。聞いた所、呼びかけた子と、その子の友達。この子は私も見掛けた事がある、違う科の子だ。そして更にその子の友達。女子は私含めての4人。
少し距離を置いて纏まっている男子4人が居たので多分、今回のメンバーなんだろう。
目が悟で慣れてしまったのかピンと来ない。真面目そうな男と普通に髪のカラーリングを派手にした男とチャラ男とチャラ男2号という所だ。
男女ともに私で最後だったらしく、ぞろぞろと店内へと入っていく。そして予約席と書かれたプレートのある席へ。スタッフがプレートを持って行った後に主催者であろう、友人が声を上げた。
「じゃあメンバー揃ったし、自己紹介してく?」
「いーね!」
どっち周りで自己紹介してく?と主催した友人と、その子のおそらく狙っている人もしくは彼氏が僅かに揉めた。
……急ぎって事じゃないし、今回で無理に決めなくても良いかな…。選り好みするなって思うけれど、チャラチャラしてるのは論外、普通そうで髪を派手にしてるのはバカっぽいし。真面目そうな人は可もなく不可もなく。この中から選ばないとお前を殺してやる、と脅されたら渋々真面目な男を選択せざる負えないけれど、龍太郎のせいでトラウマを思い出させる。それにこの真面目な男は友人の狙ってるっぽいし、それをわざわざ掠め取りたくはない。