第32章 御三家
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さて、伏黒から会議が近々あると聞いたその日の内に悟に御三家会議ってなーに?と聞き出した結果。
御三家の会議は伏黒に聞いたその日の週末、三日後に行われる事になりました、と。
悪びれもなくにこにこと眩しい笑みを浮かべる悟は頷いてお菓子作りの本をだらだらと見てる。その本を悟の手から引っこ抜いて私の話に集中させた。紙面から私の目をようやく見た彼。
『……三日後??あ?なんで隠してんの?』
悟の肩をがっしり掴みガクガクと揺すると笑顔な彼は「やめてー!乱暴しないでっエロ同人みたいにしちゃイヤン」とかどこまでもふざけているし。
いやどんだけ情報出さないの?あれか?授業参観のお知らせのプリントを当日に渡す子供か?前日でも厳しいのにはい、と渡されてそんなシフト組んでねえよ!って頭を抱えてキレてた母が思い出しちゃったんですけど。はい、私がそれやったんだけれどね(それ以降、ちゃんと渡された日に渡すようにしてた、良い経験)
私の『急すぎや!』に対しての悟の両手を合わせてのゴッメーーン!というやりとりをして。突然過ぎる為に着ていくマトモなものがねえやというワケ……。
悟の実家に連絡のち、縹色の着物が週末に間に合うようにマンションの方に昨日送られてきた。ほんっとギリギリだったじゃん。
彼は「いくつかハルカ専用の着物も作って貰わないとね」と言って悟は悟で着替え、私も送られてきた着物に着替えて。
五条家からの使いの男性が車で私達を迎えにきて悟の隣に乗った私。呪骸は今回はお留守番。サトールは刺繍されたそのつぶらな瞳で見上げて「ゴジョ…」と、小さな彼を置いていく事に罪悪感を覚える顔をしていて。
「いつまでそうやってんの!モデルになったホンモノは僕、見つめ合いたいなら車の中で瞬きも惜しいくらいに見つめてあげるからデッパツするよー」
『あっ、さ、サトール!留守番、ちゃんとしててねっ!』
なかなか動かない私を悟が引っ張りそのまま私達は部屋を出た。今日は禪院家まで車で行くのか~……遠いなあ。でも電車とかの乗り換えとかより車で行くのなら楽、しかも私達のどっちかが運転じゃないからただ後部座席に乗ったままのんびり出来る。