第25章 気分はホワイト、時々ブルー
241.激裏
子供の頃から大事にしていた人形や大人になってゲーセンでゲットした景品たちに私達の行動を見られているような気さえする。実際は呪力もない、ただの量産型のぬいぐるみたちなのだけれど。
私に覆いかぶさる悟の少し長い髪が素肌に当たってくすぐったい。身を捩って『くすぐったい、』と呟けば彼はククッ、と喉で笑ってちゅう、と静かに小さなリップ音を立てて首筋や胸元に顔を埋めている。
私の人生の多くを過ごした実家の寝室。素肌を互いに晒しベッドに押し倒されたなら、降ってくるのは冷たい雪ではなく暖かいキスの雨。恋人になってから今日まで多くの回数身体を重ねてきたけれど、実家の自室での今している行為に、いけない事をしている気持ちになる。物音をなるべく立てないようにしなきゃ……。そう気を付けながらももうひとつ注意しなければいけない事があった。
キスマークを量産する彼の埋める頭。ザリザリする後頭部を撫で、両手で側頭部を包んで離そうとしてみた。
『さと…、目立つ所は…っ』
明日は試着をするのだから、彼に愛された"痕"を見られてしまう。恥ずかしいじゃん。
きゅっと口を結び、夢中な悟を見れば彼は私と視線を合わせて瞳を細めて意地悪笑みを浮かべた。
「消しちゃ駄目だかんな?僕だけのハルカって印なんだから……っ」
注意しても無駄で、ちゅうっ、と吸い付き離れてはまた別の場所へと赤い印を付けられていく。首筋、鎖骨、胸元…目立つであろう場所ばかりにキスマークを残していくからさっきよりもダメだって意志で、手で悟の顔をそっと押しこれ以上付けられるのを抑える。
ちくりとした痛みが止んで、小さく笑い声を上げる悟。
「ん、駄目?」
『……これ以上は。明日どうすんの?私、恥ずかしいんだけど…』
試着するってのにどうすんの。リビングで皆で見たドレスの形状。確実に見える、そういう場所。
悟はあは、と笑った。ベッド上、覆いかぶさったままに両手で胸に愛撫しながら。