第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
そして。この任務で私は悟の記憶を封印しないといけないって事。私が悟に会うよりもずっと前に私に逢っていた記憶ならそりゃあ封じ込めなきゃ話が噛み合わなくなるもんね……。
解放するのはあの母を降ろした時だった。そこまで封じ込めるのなら割と何かやらかしても安心かもしれないけれど。
……警戒されないように、変なボロは出さないように。そこは注意しなきゃ。
"高専時代の"悟の疑う視線と言葉。それに私は素直に答える事にする。
『春日家の術師だからだよ。ただ居るだけで呪いを呼び寄せんの』
覗き込む悟に顔を反らしたままに、視線だけを彼に移す。この高専時代の悟が春日を知ってるのかは分からないけれど。
私の言葉を聞いて少しのけぞって彼はにやりと笑う。
「はあ?マジかよ?オマエ、春日家なの?」
ははっ!と声を上げて笑う悟。馬鹿にしてるって丸わかりで。その態度にはちょっとムッとする。そういう所だかんね…?
私に指を指し笑い声混じりに続けてる。思わずその態度に私は腕を組んでそんな悟を睨んだ。馬鹿にされて良い気分はしないし…。
「あの一族ってまだ生きてたの?ふっ、あの他人の為に死んでく一族だろ?……ククッ、早く死にたいから呪術を使って髪の毛を白く染めてくってハナシじゃん!
ああ、だからオマエ、結構白くなってんの?……ウケる」
『チッ、……失礼なクソガキだなあ』
「なんだと?」
さっきまでケタケタ笑いながら小馬鹿にしてたのにクソガキと言えばムッとしてる悟。煽り耐性がないっていうか、沸点がなんとも分からない。そう考えると、28歳の彼は成長してるって事だ……この悟は苦労するぞー…。
「オマエ、高専の印入った服着てるじゃん。何?京都の?」
少しだけ怖い顔をした彼はじっと見てくる。勝手に憶測をしてる、制服着てるから未成年とは限らないんだけど……それはそれで都合が良いからしばらくは黙っていよう。
「2年になれば交流会で京都のヤツらと会うだろうけど。オマエ、何年?つか名前」
『個人情報握るのに必死かよ。私はハルカ、だけど?』