第21章 僕の初恋をキミに教えてあげる
シートベルトをして疑問を口に出した。
デートかと思ったら任務って事が多くてその逆もあるのでは?と思ってしまった私がいた。任務と思ったらデート。ありそう、だってふたりきりだし。補助監督生を呼ばずにわざわざ車を運転してまでっていうのが何よりも怪しいし。
そんな私の質問に眉をひそめる悟はキーを回し、エンジンを掛ける。エンジンが掛けられると共に車体が僅かに振動した。
「なにアホなこと言ってんの!任務は任務でしょ?早く終わせたらデートに切り替えても良いけどハルカはデートに行く気分なワケぇ?」
『どの口が言う、どの口がっ!』
今までの経験があるからこそ聞いたってのにまるで私がアホみたいになってるじゃん!
自信たっぷりの顔で悟は、ハンドルから片手を離し、親指で顔を指してる。
「このイケメンの口が言ってるねえ?」
すっ、と視線を前方に向ける悟。そして車がウヴンッ!と唸った。
『……パーキングのままだよ、イケメン。何やってんの』
「アクセル踏んだらさあ~…」
『はいはい、ウィリーでしょ?ちっちゃいだるまでも飾っておく?』
口を尖らせながら文句を言う悟はがちゃがちゃ音を立ててギアを変えてる。大丈夫かな、この調子で。
走行中、悟は真っ直ぐ前方を見て運転をしながらに軽い説明を始めていく。
「これから行く先で僕がハルカに対して呪物を使用する。その後とある場所に向かって貰い、現地の呪術師と協力して呪物をもう一度使う。
詳しくはとりあえず現地に行ってからだけれど、さっきみたいにデート気分だとか言って気を抜かないようにしてよ?」
『……ん、分かった。任務なんだから気を抜かないようにするよ』
浮かれポンチで怪我とかしたら嫌だし、気合い入れて任務を遂行しよう、その私と一緒に任務をする呪術師とも合わせていかなくちゃならないし…!
「フフッ……、呪物を扱う時はくれぐれも注意してよね?」
何か意味ありげな、含んだ言い方の悟は小さく笑ってる。
なんか…怪しいな、と思いながらもうん、と頷いて悟に運転を任せ、その現場へと車を向かわせてもらった。