第20章 星空の下で愛を語らう
183.
「へー、キャンプとかいいなー。高専でそういう企画とかあれば良いなー!」
「あってもハルカみたいに任務のついでだろ、海の件忘れたのか?」
週が明け悟が教室に来るのを待ちながら雑談をして過ごしてた。悟は遅刻常習犯(教師)、基本数分遅れて来るのが私達全員が分かりきってるのでのんびりとしながら。
野薔薇が頬杖をついて髪を弄りながら、つっこんだ。
「ていうかあの人免許持ってたんだ……」
「俺もそれは初めて知った」
同じ感想だ、てかあまり知られてなかったのかもしれない。
買い物の時とか、海に行った時とか基本私運転だったし。悟はあの自由な性格故に筆記の時点で点数取れないだろ、くらいに考えてたら免許持ってるって言うし……見せてもらったし。ふざけていない写真が新鮮だった。
何故急に運転するようになったか、についてはあえて触れないでおこう、墓穴を掘る。
『多分ペーパー、次点で車種の違いに戸惑ったって感じで行きは不慣れだったかな。行きも帰りも運転して貰っちゃったんだけど』
「あの人、呪いを轢き殺したりしなかったか?」
『ブッ!……まあ、居たら居たでしてそうだよねーミサイル呪法とか言って』
ぱん、と手を叩いてドヤ顔の虎杖が指を指す。良いネタが仕上がったようで。
「グランドオートセフト呪法」
『ただの轢き殺しじゃねえか』
そして最終的に大喜利が始まり、「フライドグリーントマトのトゥワンダー!って先に止められた車をガッツンガッツンぶつけるヤツ!」だの「コンビニとかに突っ込むオチとか?」に『老人の運転か』とケラケラ笑っているとガラ、とドアを開けやってきたのはここの担任。
楽しい雰囲気の教室に現れたるは怒りの化身。苛ついてるのが言葉を出さずとも分かる。雑談をしていた私達は一斉に口を閉ざした、内容が悟にちなんだものでもあったし…。
「おっはヨークシャテリア゙ァーッ!」
「うるせー!」
『声量抑えろ、ジャイアンか』
教室入っての第一声が元気なのもそうだけれど、デスメタルか!というくらいに怒りを込めてる。どうせ悟の怒りだから階段の段差に足をぶつけただの、急遽遠くに任務が入っただの座ろうとした便座が上がってただのチャックでチンの皮でも挟んだとかそういうのでしょ、くらいに些細な事だと思うけど……。