第20章 星空の下で愛を語らう
「無限があれば砂煙も大丈夫!」
『すっげ流石悟、ありがとう!』
得意げな顔をしてる悟の側で悟に釣られて私もしゃがみ込んだ。
取り残された金庫の中にあったのは、水分を吸って乾燥をして…の繰り返しでゴワゴワになった新聞紙や何枚かのはがき。そして茶封筒と紙袋に入った何か。
躊躇うことなく悟は紙袋に手をのばし、ガサガサと中身を取り出す。確認するように手に持てばジャラ、と音を立てる呪物。
少し赤っぽい茶色のサビが着いて下手したら壊れそうな手錠を見ている、悟の手元をじっと見た。
「うん……確かにこれだ。茶封筒の方に入った鍵にも呪いが込められてるねー…、使うなら多少の錆は取った方が良いね。はいこれで任務自体は完了です」
ズボンのポケットに手錠と茶封筒を畳んだ物をガサ、と詰め込む悟。えっこれで終了…?あまりにもあっけなく終わった任務に驚き、しばらくして思い出したツッコミ。
『呪物をそんな雑にポケットに突っ込むんかい!
仮にもちょっと危ないモンでしょ?大丈夫なの、そんなに雑に扱って……』
等級にもよるけれど……基本保管ケースや札などで呪いが漏れないようにするって補習の時に悟自身から聞いた。万が一を考えてって話で。
一対一での補習、これは確実な事。テキストでも書かれてた事でもある。
悟は私から視線を一度ゆっくり反らし、視線を私に向けてからそのままバチコーン!とウインクをした。
『おやおや?誤魔化しモードかなあ?』
スネた表情で一度しまった手錠&鍵の封筒をぶらん、とぶら下げて見せる。口がちょっと尖っていた。
「大丈夫の助だよーん……多分!」
『多分て』
「……まあ危険なのは変わらないだろうけれどね、右左の尻にふたつ魂が無い限りは大丈夫でしょ」
ふふふっ、と怪しく笑う悟はそのままにこの手錠に纏わる話を聞かせてくれた。それはまるで怪談話のように。呪いが込められる理由を聞いて余計に不安にさせるような。茶封筒からつまみ出した錆だらけの手錠をゆらゆらと目の前で揺らして。
「これはね、ひとりが両手を手錠掛けられたり、片手と物を繋がれたりしても特に意味がないんだけれど…命あるふたりが片手ずつ繋がれば効果を発揮する呪物なんだよ。手錠の纏わる殺人事件や監禁事件で呪物になる事が多いんだよね。サンプルとして既に保管はされてるからコレ自体は壊したって構わないんだけど…」