第13章 3.暴れ回る
「クラス委員がまだ決まってないな。誰か立候補する者はいないか」
この気まずい行事は全国、全世界であるのだろう。
この時ばかりは独特の妙な「おいお前やるとか言ってなかった?」「ねえ~…」とコソコソとした空気が流れる。
(委員長なんて嫌だな~。身勝手な時だけ頼ったりとか…)
スバルは物心ついた頃から魔法少女として夢魔を退治しているので放課後どころか授業も抜け出すので、こういった役職はやったことがない。
委員長とかの責任が無い生徒が、面倒な時にこういうのは委員長が~という嫌なタイミングで押し付けられる役職だと偏見がある。
早く決まってこの空気終わらないかな、と思っていると中央一番の席の大人しそうな印象だった女子生徒が手を挙げた。
それにはスバルのみならずクラスみんなが意外だ、という表情で見ていた。
「あー…と、園原。園原杏里か」
どうやら他には居ない様子だったのでそのまま女子枠は彼女に決まる。
その流れで先生はこの空気に耐え切れなかったのか、初めての仕事だと言わんばかりに司会進行を譲る。
杏里は前に立つと慣れていないのか顔が赤くなり、緊張しているのがわかる。
クラスの男子たちはあんな可愛らしい女子が出てきては話が変わるのだろう、本気で迷っている様子が伺えた。
しかし地味女子の区分。素直になろうか考えている人は「あいつの相手するんだぜ」などと話しているのが聞こえた。
スバルはその言葉にイラっとしたので一言言ってやろうかと腰を上げかけたとき、それよりも先に手が挙がった。
「竜ヶ峰、帝人です…」
特に問題なく係決めが終了したので下校となった。
スバルは静雄と昼食を摂るべくさっさと下校してしまい、正臣と共に教室に来たるいは再び肩を落とすこととなる。
黒板に書かれた名前を見ると正臣はピンクのチョークを取り出しては、帝人そっちのけで帝人と杏里の名前をハートでくくりだす。
「お前も隅に置けないなあ。小学校の時は幼馴染と噂を立てられただけで泣いてたお前が自分から積極的にラブラブランデブーでハンターチャンスとは」
正臣と同じクラスに居てるいは思うのだが、正臣はこういう茶化す所はやめた方が良いと思った。
当人の帝人も「はいはい」と流している。慣れているのだろう。
「だが最後の詰めが甘い。そんなんじゃウハウハなラブコメ生活は遅れないね。と」
