第10章 準備
田中太郎:池袋の学校に通うことになりまして、会うかもですね
マホ:良いですね。羨ましいです
甘楽:おや?もしかしてマホさんはもう卒業した年齢ですか?
セットン:失礼ですよ@甘楽さん
マホ:いえ、学校に通う年齢なのですが事情がありまして、通いたくても通うことができないのです
マホ:あっ深刻な状態とかそういうわけじゃなんです
田中太郎:いえ、皆さん事情がありますし…
「はい、ギプスとれたよ」
新羅の自宅にて、ついにギプスを外すことができたスバル。
「ありがとうございます!」
何日かぶりの自分の腕だが、力を入れるとなんだか変な感じがした。
「まあこれから生活の中でリハビリを…ってどうしたの」
ついにとれたギプスを見て喜んでいたはずのスバルだったが、新羅が話かけたときは暗い面持ちに変わっていた。
「…私怪我が治ったのでやっぱり、静雄さんのところから出ていかないとなので…」
自分の腕をさすりながら寂しそうに言うスバル。
そもそも静雄の家に居ることになったのは静雄が事故とはいえスバルに怪我を負わせた事が原因。
それが完治したとなると、スバルと静雄の関係も新羅とセルティとの関係も終わりなのだとスバルは思っている。
「やだなあ、静雄はそんなつもり薄いと思うよ」
新羅は暗い顔をしているスバルと裏腹に笑顔で言った。
「それを静雄が言ったのかい?別に出ていけって言われてないならいいんじゃないかな」
確かに、怪我が治ったら出ていけという話はしていないが、常識的に考えるとこれ以上は無い。
「…でもこれ以上居るとなると…。身分証が無いようなものの私はまともに働くことも…」
と、スバルは顔を上げて新羅とセルティを見る。
新羅は先日闇医者ということを聞かされて心底驚いたが、そうなると新羅も「まとこに働いている」とは言えない。
セルティに感じてはそもそも人ではないのでまともに働くどころの話ではないが、立派に金を稼いでいる。
2人をじっと見つめているスバルにセルティと新羅は首を傾けている。
「…あ、あの。お願いがあるのですが…。私にも運び屋の仕事をさせてもらいないでしょうか…」