第9章 衝突
「またねスバルちゃん。貴女を完璧な道に戻すのはまだ私はまだ諦めないわ」
サイモンの介入、野次馬の集まり方にそれどころではなくなったのは「行きますよ」と仲間に声をかけて立ち去って行った。
静雄も「帰るぞ」とスバルに言ってその場を去ろうとした時。
「………」
急に静雄が立ち止まり後ろをついていこうとしたスバルは静雄の背中にぶつかる。
「なんだ?」と思い静雄の視線の先を見てみると、スバルが静雄の家に転がり込む原因になった折原臨也が野次馬の中に居た。
「やあしずちゃん。俺は別に君なんかを見ようと思ってここに居たんじゃなくて、なんだか人だかりを見つけたからここに居るわけだから。しずちゃんだって知ってたら見ないよ」
臨也は聞いてもいないのにここに居る理由をすらすらを話始めるも、スバルには嘘にも本当にも聞こえた。つまり胡散臭い。
「い~ざ~や~…」
静雄の耳にはそんなことは耳に入っておらず…、いや最初からそんなこと耳に入れる気も信じる気もないのだろう。
「さ、先帰ってるね…」
ここで会ったが百年目といわんばかりに肩を震わせている静雄に後ろから一応声をかけたが、恐らくこれは聞こえていないのだろうとスバルは思っていた。
早歩きめに離れた瞬間、「ふんぬ~~!!」という声と共に何かを破壊し持ち上げたガシャーン!という騒音えお背に、スバルは帰宅した。
まだ陽も昇りきっていない時間帯の翌朝。
静雄が帰宅してきた音で目が覚めたものの、ドスドスと体重の感じる足音で部屋を歩いているのが聞こえた。
(うっわ~…イライラしてるなあ…)
帰宅したときに起きていたら声をかけるようにはしていたスバルだが、こういうイライラしている時は何の刺激を与えてはいけないという本能によりスバルは寝たふりを決め込むことにした。
(それにしてもるる子さんのあの力はやっぱり、魔法少女の力を使わないと出せないよね…)
スバルの居た世界では静雄のようなむちゃむちゃな怪力を出す人など聞いたこともないので、るる子は静雄タイプではないと考えた。
魔法少女の力を使っているとすると、仲間の様子を見る限りるる子は少なくとも彼女たちの前では変身を解いていない。
(魔力おばけってわけね…)
そしてあのスバルへの執着。避けられない相手とはいえできれば避けたいなと思うスバルだった。