第9章 衝突
時刻は18時。静雄から飯に行くという呼び出しの電話が鳴り、スバルは外へ出た。
歩いて向かうスバルの後をつけるのはるる子とその仲間。
「やっぱり露西亜寿司、美味しいですね。サワークリーム寿司とか意味わかんないですけど」
この街に来てから何度目かの露西亜寿司。もはやソウルフード(寿司だが)になりつつもある気がするスバル。
「けどお前サワークリーム寿司好きだろ。よく食えるな」
普通の寿司を食べている静雄に対してスバルは変わり種ばかり食べる。ちょっと偏食なのではないかと静雄は思っていた。
「ご馳走様でした~」
会計を済ませて店を出ると、店のすぐ前に1人ロリータの女の子 るる子が仁王立ちしていた。
「あ?何だ?」
静雄と同じくキョトン顔で見つめていたスバルだが顔をよく見て気が付いた。
「る、るる子さん!!??」
スバルにとってはこの街に来ている可能性のある2人の内1人と突然の遭遇、しかも向こうからやってくるというパターンは予測しておらず驚きすぎて大きい声も出ない。
「知り合いか?」
静雄の知らない名前をスバルが呼ぶ事がなかったので、静雄は気を聞かせてスバルとるる子の間から体をずらした。
「ええスバルちゃん。「会うのは3度目」ね。突然いなくなったから探したのよ」
驚いているスバルの手を握ると優しく微笑む。
スバルにしてみればあまり面識が無いとはいえあちらの世界から来た初めての知り合いなので、嬉しくて目が潤んでいる。
静雄というと「感動の再開ってやつだな」ウンウンと2人を見ていた。
るる子はスバルを追い自分も夢魔の出すゲートを通りこの街に来てなんとかやっているのだと言い、スバルとめるりを探していたところこの街でできた友人から似た人を見たので来たと。
「2度しか会っていないのに、よく私だってわかりましたね。すごいです」
スバルは純粋に記憶力が良いんですね、というつもりで言ったがるる子はその言葉で気分を良くした。
「もちろん。スバルちゃんと顔を合わせてからいつもいつもあなたの事見ていたもの」
うっとりと話するる子に対してスバルはその言葉を聞いて固まる。
「いつも…?」
握られていた手を放そうと引くが、グッと力を入れて離さない。
「ええそうよ。スバルちゃんを守る為に同じお部屋に居たこともあるわ」