第8章 新たな日常
暫く滞在した後、時間だったので帰ることにした。
「それじゃあね。またギプスの事もあるしいつでもおいで」
新羅が手を振るのに「ありがとうございます」と返すとスバルはふとお礼を言わなければいけないのはこのことだけではない事を思い出した。
「チャット、誘ってもらって本当にありがとうございます」
この世界に来て助けてくれる人は沢山居たが、スバルの思う友達の存在は出来にくい環境だったのでセルティに教えてもらったチャットが何よりの楽しみだった。
何度もお礼を言っているが、言い足りないほどに感謝している。
『良いんだよ。そういえば昨日新しい人が入ってきたけど、その直前でスバルちゃんは寝ちゃったからまた今日会えるといいね』
セルティはキャラの強い甘楽という人の知り合いだと言うので、スバルは勝手にキャラの強いひとをイメージして楽しみにすることにした。
「どんな人なのかな…。私と一緒の新顔さん…」
今は人とも繋がりがほしくて仕方がないので、一緒の新入りというだけでも胸が躍る思いだ。
2人のマンションを後にしたスバルは街を散歩して帰宅しようと考え、途中で飲み物を購入したりしてのんびりと歩く。
その後ろからスバルをつけている影が1つ。仲間に写真を貰い、街に広がる仲間の情報を頼りにスバルを追いかけてきたるる子だ。
「見つけた…!見つけた…!スバルちゃん!」
るる子がスバルを見つめる視線はいつものお嬢様のような態度から離れ、違う人なのではないかというように嬉しそうにしている。
その様子はまるでストーカー。
「可愛い完璧な女の子スバルちゃん…!どうして怪我をしているの?肌の質も髪の質も落ちているわ…!」
物陰に隠れながら1人でブツブツと言っている自分たちの主に乙女達は動揺していたが、1人の女の子が「でも私たちも騎士様が推しだからそういうのかも…」と発言し場が収まる。
「許せないわ…。スバルちゃんに怪我をさせた人も許せないし、何より一緒に居たって言う平和島静雄とかいう人。そんな危ない人と一緒にいるのは危険だよ…」
この世界で出会った女の子達の話によると暴力が服を着て歩いているという男と一緒に居たと言われ、心配の度合いが跳ね上がる。
「今までは黙って見てるだけだったけど、危険な影響が出るのは許せないわ…!」