第7章 騎士辺るる子という人
「スバルちゃんはどこにいるのかしら」
暗い池袋の道を歩くるる子に近づく人影があった。
「騎士さん。本日のお庭の清掃が終わりました」
るる子と似たような緑を基調とするロリータファッションに身を包んだ女の子達がるる子に「騎士さん」と話しかける。
「そう、これでまた私達とスバルちゃんに似合う綺麗なお庭に近づいたのね」
報告をした女の子は何かを期待した目でるる子を見ており、るる子もそれに気がつく。
「言うことを聞いた可愛い子にはご褒美をあげなくちゃね」
と言うと白い人差し指を伸ばしてクイクイと曲げるとその手の所に報告をした女の子の頭が寄せられ、るる子は頭を撫でる。
そうすると撫でられた女の子は満足げで、周りの女の子達は「羨ましい…」「いいな…」と話している。
「みんなも、スバルちゃんを見つけられたらもっと良いご褒美をあげるわよ」
場の女の子達はもっと頑張ろうと意気込んでいる。
(作られた人形のめるりより先にスバルちゃんだわ…。簡単に見つかると思ってたのに…イライラする…)
すると、るる子達の先で揉めていた若者たちがついには殴り合いの喧嘩に発展していたのが目に入った。
「……名古屋の街も綺麗とは言えませんでしたが、この街は「汚れ」が目に見える事が多いので呆れるわね」
「お願いね」とるる子が声をかけると一緒にいた女の子達が一斉にそちらに向かって歩いていく。
「こんな汚い街にスバルちゃんがいると思うと心配だわ。綺麗にしといてあげないとよね」
近づいてきた女の子達に気がついた喧嘩をしていた若者は「お、お前らは噂の緑の…!」と言っている間に、どこからそんな力が出るのかという勢いで捻りあげていく。
(そういえば、今日声をかけたお2人はカラーギャングとか言っていたけどそれって話に聞く黄巾族とかブルースクウェアやダラーズというのの事を言っていたのかしら…)
女の子達に無残な姿にされて行く男達を見ながらるる子は考える。
るる子は、当人言うところの「街を綺麗にしているだけ」なのでカラーギャングというには心外だと思っていた。
しかし思わず組織化してしまったので名前を付けようとも思った。
「……そうね「庭師の乙女達」なんてどうかしら」
そう決めると同時にるる子の元に戻ってきた、褒めてほしい女の子達を見て「よく出来ました」微笑んだ。
