第6章 居候です
牛は暫く黙ったが、スバルも沈黙という圧を使うとファンシーな存在は弱いのか直ぐに吐いた。
『正直に言うのだ…』
魔法少女を見守るマスコットとしての沽券に関わるので黙っていたが、スバルの事を探すために例のタイプの夢魔を追い数日前からめるりが行方がわからないとの事だった。
「ど、どうしてもっと早く言わないの!」
問い詰めると牛は返す言葉も無いようで『ごめんなのだ…』としゅんとする。
めるりが池袋にいるかもしれない。しかし同じところに連れてこられているのかがわからない。
「同じ所にいるかもしれないのに、めるりに電話が繋がらないのはどうして?もっと繋がるようになったりとかすると思うけど…」
普通の考えだと距離が近けれは電話などは繋がりやすと思うはずだが、牛の言う日数と同じくらいにめるりと逆に電話が取れなくなっていることになる。
『多分、空気中にも存在する微量な魔法の力を借りて電話をしてるからそっちの世界には空気に魔法が無いのだ…。スバルは元々力が強いから無理やり繋げられてるだけで、めるりは人よりも力が弱いから…』
推測に過ぎないけど、と牛は言ったがこれだと納得が行く。
元いた世界から電話をしようと思うと電波が通る道が空気中に無く、一方通行。
しかしスバルのいる世界でスバルの力にものを言わせて道を無理に繋いでるとするとスバル発信の電話が繋がるのも納得が行く。
恐らくめるりはキャッチするための扉すらも無い。
「自分の足でめるりを探すしかない……んだね…。本当に同じ場所にいるならね…」
自分が愛知に居たのに池袋に来たように、めるりもどこか全く別のところに連れていかれていることも充分に考えうる。
最悪の場合は他国、または全くの別の世界だって。
とにかく近くにいると願い、スバルは今後このような事がないように他の魔法少女や同じ地区のるる子にも無闇に夢魔に近づいてほしくないと頼む。
『るる子さん…にも言っておくのだ』
わかりやすいポンコツマスコットなので、牛の変な間をスバルは見逃さなかった。
「今の間は何?るる子さんはちゃんといるんだよね?」
『………』
また牛は沈黙した。
(この牛、わかりやすすぎる!)