第6章 居候です
平和島静雄の所へスバルがやって来て1週間と少しが過ぎた。
静雄は仕事の関係で夜でも出ている事が多いのでスバルの食事は置いておいたり買って帰ったり、足の捻挫も良くなってきたので静雄の外食の時に呼んだりしている。
おかげで少し道がわかるようになってきた。
「静雄さん。こんばんわトムさん」
時刻は夜の20時。今日も静雄は外食をスバルも一緒にとトムに許可を取り呼んだ。
「おうスバルちゃん。腕の方は全然みたいだけど捻挫とか細かい怪我は大分良さそうだ」
トムには家出少女を静雄が巻き込んで怪我を負わせたので責任取って完治まで家に置いてる、と説明してある。
「はい、お陰様でこの通りに。普通に歩いて出かけるくらいには問題ないです」
トムはスバルに「お嫁に行けないって言っとけ」などとどこかの闇医者と似たような事を言ってはスバルを困らせていた。
「スバル。お前寿司食えんだっけ」
手に持っていたタバコを喫煙所の灰皿に入れるとスバルに聞く。今日は露西亜寿司の予定だ。
「大好きです」
ニコニコと答える年相応の女子高生にトムは眩しい…と目頭を抑えている。
「てか、スバルちゃん制服姿しか見たことないけど他に服持ってきてないの?」
トムと会うのはこれで3、4度目くらいだが全てスバルは制服だった。
そこそこな時間にスバルを呼び出すことがある為に制服でうろつかせるのはどうなのかとトムは思っていた。
「うーん…そうですね。あ!洗濯はきちんとしていますよ」
まさか臭う系なのかと思ったスバルはトムに急いで説明をした。
「そりゃまぁ何となくわかるけど、てか洗濯の間どうしてんの」
1着しかないとなれば洗濯中も含め、寝巻きはどうしているのか気になったのだ。年頃の女の子なのだから気になるのは当然。
するとスバルは少し黙ってしまい、トムは地雷を踏んだかと思った時。
「まだ買いに行ってないんで、適当に俺の着せてるんですよ」
スバルが答えなかったので静雄が代わりに答える。
「へー、静雄のをねぇ」
トムは喉まででかかった、スバルも思っていたワードをあえて言わなかった。
【彼シャツ?】と…。