第1章 農業生活初日
「店なら、元々、リヒトが住んでいた家を改築するんだ。二年前まで、別の住人が住んでいたから、左程汚れてもいないからな。ほら、あの青い屋根がそうだ。」
少し離れた場所に、青い屋根が見えた。
「でも、私、配達なんて出来ませんよ?」
「その事なら、話は付いてる。この村専属の配達人が移住してくる事になっているんだ。俺はこのまま、ウチの物は配達するから。」
新しい住人が増えるんだ。新キャラ?
「お店はいつ出来上がるんですか?」
「一週間くらいの予定です。」
思ったより早いけど、まぁ・・・どっちでもいいかな。
「莉亜さん、どうかそれまでの間、僕に畑を手伝わせて頂けませんか?何でもやります。」
水やりも肥料も自動だ。草抜きはあるけど、それほど生えない設定?一日二、三本くらいだったはず。
「肥料の補充とか、採取したものを運んだりとかですけど・・・それで良かったら。」
「ありがとうございます。」
うわぁ~、眩しい笑顔。
「それで、作物の方はいいのか?」
「はい。ただ、外の出荷分を控えるようにしますけど。」
同じ村の住人だし、少しだけお手伝いしておこうかな。
「良かったな、リヒト。」
「はい。ありがとうございます。」
そっか・・・料理が好きなんだなぁ。
「で、宿は取れたのか?」
「あ、ダメでした。」
そこで、二人がこっちを見た。
「莉亜、リヒトを泊めてやってくれないか?その間、こき使えばいい。部屋、余ってるだろ?」
「はい?」
私、これでも年頃の娘ですけど?田舎とはいえ、これってどうなの?いや、私は私に自惚れてる訳じゃないよ?
でも、二つ返事で了承する案件じゃないことない?
「莉亜さんの嫌がることはしません。だから、どうか僕を宜しくお願いします。」
深々と、頭を下げるリヒト。
ねぇ、これって断れない状況じゃないの?それに、僕をお願いしますって何?そこも気になる。
「ケビンさんの家は?」
「ウチは雇ってる奴らでさえ、すし詰め状態だから無理だ。」
そ、そうですか・・・。
「・・・わ、分かりました。」
妥協感満載で返事したら、リヒトは嬉しそうに微笑んでいた。イケメンオーラが眩しい。
スリップ初日、いきなりイケメンの同居人が出来ました。それより、私・・・この世界の生活に馴染んでる?って言うか、この世界を認めてる?