第10章 農業生活十日目
リヒトの声で起こされた。既に、着替えた後らしく、私は気付かず爆睡していたらしい。ちょっと恥ずかしい。それに、そんなに見詰めないで欲しいのだけど。でも、リヒトは顔を近付けてきてキスする。
「おはよう、莉亜。」
「おはよう。」
「ねぇ・・・聞いていい?」
とびきりの笑顔で何を言われるのかと思ったら・・・一週間に一日ならいいかなと夜のお誘いだった。ずっと、考えていたらしい。
今、朝ですけど・・・起きたばかりですけど・・・。爽やかな顔で、何ってことを聞いてくるの?
「僕としては毎日でもいいんだけどなぁ・・・フフ、考えておいて。じゃあ、朝食作りに行くから。莉亜も起きて。」
「う、うん。」
ご機嫌で部屋を出て行った。淡泊なだけかと思っていたら、どうやらそうじゃなかったみたい。でも、昨日はリヒト・・・先に寝ちゃったよね?暫くはお店で疲れるだろうから、そういう事は・・・。
身支度を整えてキッチンに行くと、エフェクトのようにリヒトの周りにキラキラが見える。今日も見目麗しい。
いつもながら、シンプルな服装なのに何でこんなに・・・。素材?作物もそうだもんね。
「莉亜、どうしたの?そんなところで立ち尽くしてないで、僕の傍においでよ。」
リヒトに近付き、隣りに並ぶ。ニッコリと笑うリヒトに、思わずのぼせそうになる。一体、この甘さは何?それは、食事中に話してくれた。
「僕がこっちに来てから、毎日一緒だったよね?だから、ちょっと寂しいって昨日は思ってて。莉亜のこと好きだから仕方ないよね。」
ねぇ、そんなことどうして普通にキラキラした笑顔で話せるの?
「だから・・・夜は、その分莉亜を堪能したいなって。」
えっと・・・私の理性木っ端みじんにするつもりなのかな。そんな熱い眼差しで見詰めないで欲しい。お腹いっぱいだよ。
「おはよ~、朝から相変わらず仲がいいな。」
「「おはようございます。」」
二人で挨拶をすると、ケビンは溜め息を吐いた。どうしたんだろう?
「手伝います。」
リヒトはケビンと荷下ろしを始めた。私もさっさと食べては後片付け。リヒトが現れ明細書を渡してくれた。
「ケビンさん、何かあったの?」
「ん?あぁ、大したことじゃないよ。それより、ケビンさんがワインを運んでくれることになったから頼んだよ。」