第77章 一つずつ、年を重ねて
「・・・蒼。」
「ん?」
「こうやって、ずっと私と年を重ねてくれる?」
「それって・・・そういう意味だと捉えていいんだよね?」
恥ずかしくなったけれど、私は頷いた。
「私も蒼が好き。いつも守ってくれて優しくしてくれてありがとう。感謝してるの。強くなるって決めたけど、上手くいかなくて・・・。」
「いいんだよ。その為に僕がいるんだから。ありがとう、僕を好きになってくれて。ありがとう、僕との未来を決めてくれて。本当に・・・ずっと、ずっと好きだったんだ。」
お互いに少し涙目になっている。気恥ずかしくて、お互いに笑ってしまう。
余談だけど、ゲームの中でアオイの名を騙った存在はいたのだけど・・・私にちょっかいを出す前に蒼が大激怒して撃退したのだと理玖から聞いた。
「加耶ちゃんはどうしてる?」
「友達が出来たそうだよ。あの性格を矯正してくれる強者だって母さんが笑ってた。少しずつだけど、変わっているみたい。加耶もいい出会いがあって良かったよ。随分、厳しいけど愛情溢れる人みたいだから。」
「良かったね。」
「うん。」
いつかまた顔を合わせる時があるだろうけれど、その時は世間話でも出来ればいいなと思う。
「そう言えば、流石、おじさんの子供だと思ったんだけど。理玖は卒業して直ぐの結婚を視野に入れてるみたいだよ。」
「えっ?ま、まぁ、理玖らしいのかもしれないし、パパの子だってことなのかなぁ。」
「莉緖も同じ気持ちだと思っていい?僕だって、小さな頃からおじさんとおばさんの話しを聞いて育ったんだ。影響されてるって知ってた?」
「それって、プロポーズってこと?」
蒼の顔がアオイと重なって見えた気がした。
「僕の人生に莉緖は不可欠だから。莉緖がいないなんて考えられない。だから、僕と結婚して欲しい。勿論、卒業してからだけど。・・・いいよね?」
「うん。よろしくお願いします。」
「良かった・・・こちらこそよろしく。あ~、僕の莉緖が可愛い。本当に可愛い。」
卒業する半年前には、理玖たちも私たちも同棲を始めた。両親が寂しがるかと思ったけれど、新婚を思い出したそうで相変わらずのラブラブぶりだった。
年を重ねても、あんな風に仲良くいられたらいいなと思う。