第74章 春十六日
勿論、私たちは全裸だった。少々、楽しみ過ぎた私たちの朝は正確に言うと私は鈍い身体の痛みで泣きそうだった。そして、アオイのソレは・・・朝から元気いっぱいだった。
横目で見ていた事をアオイに気付かれて、羞恥で真っ赤になった私。だって、気になるんだもの。そう言えば、昨日収穫した一際大きかったキノコ・・・思い出すから止めておこう。
「僕は、朝から頑張れるよ?」
アオイが大変なことを口にした。
「ダ、ダメだよ・・・離れ難くなりそうだもん。」
「あぁ~、まさかこんな返り討ちされるとは思わなかった。莉緖が可愛過ぎて辛い。確かに、今は自重かな。ホント、僕がこんな・・・あ~、愛の力って凄いね。名残惜しいけど起きようか。」
少しだけ色香を残しては、私たちはベッドを後にした。
アオイは朝食後、病院へと出掛けた。私は畑に向かう。春の光が降り注ぐ中、青々とした野菜たちが・・・そう、巨大に育っていた。
「あ、これってママが言ってた・・・大きい野菜?でも、それって肥料を・・・肥料?あっ!?そう言えば、肥料・・・たくさんあげてた。」
金額に糸目を付けなかった高級肥料を自家生産出来るから、使うに使った肥料の結果がこれだ。
「し、仕方ない。頑張って収穫しよう。」
ゲーム補正だったのか、昨日の段階では大きいサイズにはなっていなかった野菜たち。どうせなら、アサドがいた昨日に大きくなってくれていたら良かったのにと思わなくもない。
「ゔっ、お、重い・・・。」
春キャベツの成長が著しい。そう言えばと思い立ち、家の中からフライパンなどを手にしては七輪に炭を入れ火を起こす。
採れ立ての春キャベツを適当に切り分けて、油を垂らしてはフライパンに乗せた。焼き目を付けてから、ドレッシングをまぶして試食。ちょっぴり現実を忘れての試食タイムである。
「ん~っ!!美味しいっ。春キャベツが甘い。」
そう、つい・・・気付いた時には、大きいキャベツの半分が胃の中に収まっていた。そして、何となく体が元気になった気がする。
「随分、食が進んだんだね。」
「ア、アオイ!?」
「何処からかいい香りが漂って来たと思ったら、原因は莉緖だったとは。」
風に乗って、病院までこの匂いがしたらしい。でも、美味しかったから仕方ない。最後は、自家製のベーコンを入れたから・・・箸が止まらなかった。