第66章 春八日
そして、一口食べる度に大絶賛されて恥ずかしくなった。
「丹精込めた味がするよ。野菜も茸もどれも美味しい。」
後片付けは、手伝ってくれた。と言っても、隣りで指示しながらだったけれど。本当に、今までどんな風に生活してきたのだろう。
この後、一緒に寝るというミッションがあるけれど、まさか、その前に一波乱あるとは想像もしていなかった。
入浴は、先にアオイに入って貰った。そこまでは良かったのだけど・・・突然、浴室からアオイの声が上がった。
慌てて浴室に飛び込めば、全裸のアオイが窓の外に向かって何かを言っていた。そして、そこへ飛び込んだ私は・・・。
振り返ったアオイは私を見て、覗き見されていたと言った。私はと言うと、その言葉をスルー。だって、以前と逆バージョンの全裸事件だったから。
真っ赤になって両手で顔を覆っては浴室から飛び出した。
「み、見ちゃった・・・恥ずかしい。」
少しして、浴室からアオイが出て来た。
「あの・・・貧相なもの見せてごめん。」
「と、とんでもないです。私の方こそ・・・ごめんなさい。どうお詫びすればいいか。」
「犬に噛まれたくらいに思ってくれればいいよ。僕は男だから気にしないから。」
気にして欲しいです。
「で、覗きの話しだけど・・・アレは、僕を見に来たんだね。」
「えっ?それって、痴女?」
「違うよ。シアンさんの息子さんだと思う。少ししてシアンさんの声が外から聞こえたから。でも・・・莉緖は、色んな人に好かれるね。」
主に、問題児と言うか・・・。
「これは、僕もボンヤリしていたらダメかもしれないなぁ。うん、ってことで・・・ゆっくり吟味は止めておくよ。」
「えっ?」
「莉緖は僕が嫌?」
首を横に振る。
「じゃあ、お試しに付き合おう。」
パパ、二度目の提案は何って返事すればいいの?
結局、逃がしてはくれなかったし言いくるめられてしまったのだけど・・・。
そして、ベッドは折半で就寝。
これって、正しい使い方?