第6章 農業生活六日目 (R指定)
「リヒトさん。」
「ん?」
「食事もお手伝いも、有難うございました。」
リヒトは何も言わずに、私を抱きしめた。少し寂しい気持ちになってしまう。でも、リヒトは自宅で店をやる。だから・・・。
直ぐ近くとはいえ、もう気軽にこんな風に会えない。たった一週間なのに、こんな風に寂しいって思うなんて。
「莉亜・・・一緒に暮らそう?」
いつにも増して、穏やかなリヒトの声だった。シンプルだけど、リヒトの気持ちが籠った言葉だ。
「好きだよ、莉亜。」
ギュッと強く抱きしめるリヒト。展開が早いと思いつつも、もう離れたくないと思ってしまっていることに気付いた。
「結婚を前提に付き合って、近い未来に僕のお嫁さんになってよ。ごめんね?もう・・・離してあげられそうにないから諦めて。」
不安に揺れる瞳で私を見詰めるリヒト。
「まだ、出会って一週間なのに・・・展開早すぎて付いていけてないのに・・・本当なら、こんな勢い任せなことしたことなかったのに・・・リヒトさんはズルい。寂しいって思わせるんだもの。」
「ごめんね。もう、寂しい思いなんて二度とさせないって約束するから。だから・・・僕のものになってよ。」
艶のある声が、耳の奥でこだまする。
「僕はとっくの前に、莉亜のもだから。」
いつもなら、石橋叩いて渡らない性格だったのに・・・。
「約束・・・守ってね?」
「うん。」
その夜。
お互いに理性を失くしてしまった私たちは、どこまでも欲を貪った。
直に触れる体温は思った以上に熱くて、そして、心地よかった。リヒトの零れる吐息は甘く、しなやかな指先も私の心も体も蕩けさせた。
やがて、微睡む私の髪を優しく撫でながら、額に落とされるキス。
「おやすみ、莉亜。」
リヒトの腕の中で、そのまま目を閉じた。