第59章 春の初日
衣類一式10000G(ゴールド)。安いのか高いのか微妙である。でも、彼は三着分を購入した。気に入ってくれたらしい。
「さっき、冷蔵庫の中が見えたんだが、かなりの品揃えだったな。流石、農業経営者というところか。それに、さっきの野菜はとても新鮮で美味かった。ここが宿屋なら、俺も嬉しかったんだがな。」
「では、ここに住みますか?」
「・・・・・・。」
あれ、私は勇気を出したのに・・・と、彼を見上げると、何故か真っ赤になっていた。これもギャップだ。
「・・・住みたい。」
あ、返事が来た。そっか、パパだって勇気出したんだし、それにここはゲームの世界だ。いいよね?優しいパパが作った世界だもん。
「じゃあ、部屋を案内・・・あっ!?」
「どうかしたか?」
「部屋は確かに余ってます。でも、ベッドがありません。」
「俺ならソファーでもいい。・・・まぁ、莉緖さえいいなら一緒のベッドでも。」
夕食を食べ入浴後、ジェットばりのスピードで同居になってベッドも一緒になった展開で・・・今は、仲良く私のダブルベッドで並んで横になっている。
「広いベッドだな。」
デザインが可愛くて気に入ったんだよね。かなり高価だったけれど。
「莉緖、もう少しこっちに来い。そんなに離れていたら落ちるし腕枕が出来ないだろう?」
「えっ、あ、でも。」
「流石に、初日から襲ったりしないから安心しろ。ほら、もっとこっちに来い。」
腰に腕が回され引き寄せられた。そして、私の頭の下に彼の腕が差し込まれる。って、顔が近い。
「男慣れしていないって所を見れば、付き合うのも初めてか?」
「そ、そうですね。」
「そうか。なら、最後も俺って事だな。」
最後って・・・まさかっ!?
「俺は男だが、結婚願望が強い。莉緖がいいと思うなら、いつでも言ってくれ。俺は優良物件だと思うぞ?」
幾らせっかちなパパでも、この展開は無かったんじゃなかろうか?
「う~ん、そうだな。免疫がないって事だろうし、先ずは俺に慣れるところからか。よろしくな?未来の俺の嫁。」
嫁扱いされたっ!!
「気負わなくていい。ゆっくり俺を吟味してくれ。な?」
「は、はい。」
パパ・・・もう心臓が痛い~。何ってもの作ったの?