第53章 学祭と言う名の戦場
後日、この話しを神尾にしたらしく、物凄く同情された。隣りで聞いている理人は、不満気な顔をしている。
「で、本当にそれでいいの?今更だから、理人でいいのかとは言わないけど、でも、それでいいの?」
「理人のお願いを聞いたんだから、私のお願いも聞いて貰おうと思うの。」
「お願いって?」
私は笑顔で、妥協案を提案した。
「予定通り6月にする。でも、2年は子供は作らない。理人のお願い聞いたんだから、私のお願いも聞いてくれるよね?」
神尾は一瞬、間があったものの爆笑した。理人は・・・無だ。でも、嫌だとは言わなかった。正確には、言えなかったのだろけれど。
「感情に乏しいヤツだったけど、今は逆に振り切ったな。ま、幼馴染みとしては喜ばしいけど。でも、あんまり困らせるなよ。嫌われたくないだろう?」
「嫌だけど・・・。」
「それに、手段としての無理強いもダメだからな?ちゃんと、大事にしてやれ。理人の我儘で、大事な人悲しませたくないだろう?」
不機嫌さは消えていないけれど、納得はしている様だ。
「不本意だし、納得したくはないけど・・・分かった。」
あ、納得したくないそうだ。
「自分の価値観押し付けて、大事な人泣かせたくないなら納得しろよ。ほんと、振り切ってるよなぁ。」
呆れたように笑う神尾。でも、楽しそう。
「何か嫌なことがあったら、いつでも俺に言って?何とかするから。理人が暴走しないように。」
「ありがとう。でも、二人のことだから何とかやってみる。私だって、ただ流されるような小心者じゃないから。…たぶん。」
「たぶん、か。まぁ、頑張って。じゃあ、俺も合わせて6月に結婚しようかなぁ。あんまり待たせたくないし。」
それは、彼女と相談して下さい。って、似た者同士?何か、話しが進んでいる気がする。
「うん、奈緒に卒業して直ぐ結婚しようって言おう。」
やっぱり、似た者同士だった!!
でも、彼女は素直に頷いたらしい。理人がちょっと羨ましそうだった。ただ、私たちのことを聞いて、それだったら一緒に6月でって・・・。何?合同結婚式って。
もう、溜め息しか出ない。