第47章 農業生活 夏 十四日目
「雨だから、泊めろって言われた。」
「女性客?」
「そう。そこそこしつこかったから、嫁抱いているところ他人に見せたくないって言っといた。」
それは、随分明け透けな断わり文句だ。相手もさぞ驚いたことだろう。そして、少なからずとも私も少々のダメージを受けている。
「ってことで・・・僕を慰めて貰おうかな。勿論、ベッドで。」
勿論なんだ・・・。
「それに、嘘はいけないよね。」
「嘘?」
「嫁を抱くって言ってしまったから、その通りにしなきゃ。」
いや、別にその通りにしなくてもいいと思うんだけど。って、リヒトの両足の間に収まっている私の腰の辺りに感じるリヒトの立派な存在感。
「そろそろ出ようか。」
入浴後、早々にリヒトにお願いされてご奉仕された。そう、された。逆じゃないのと思ったけれど、笑顔でごめんねと言われて成す術もなく。
声が掠れる程愛され腰が砕けるかと思う程に欲を注がれた。
~リヒトside~
夏になると気分が開放的になる人が増える。他人に迷惑をかけないのであれば、好きになればいいと思う。
でも、ここで泊めろはあり得ない。あんな露出極まりない姿で、僕を安易に落とせるとでも思ったのだろうか?
そんなに簡単に見せたいのならば、宿屋近くで徘徊すればそういう目的の輩から、直ぐ声を掛けられるだろう。開放的なのは、何も女性だけじゃない。どちらかと言えば、男性の方が多いかもしれない。
そして、その事が理由で思い出したことがある。この僕の存在について。ただ、今は今を堪能したい。僕は莉亜が好きで、どうしようもないくらい嵌っているのだから。
隣りで疲れた様に眠る大切な女性。抱き寄せれば、僕の思いに答えるように擦り寄って来る可愛い存在。
頭を撫で、こめかみに口付ける。
「好きだよ。・・・好きだ。」
ずっと、僕の傍にいて欲しい。僕が僕じゃなくなっても・・・君は僕の隣りに居てくれるかな?そうだったらいいな。
ううん、そうなるように僕は求めるから。
ごめんね?先に謝っておくよ。僕はどうやら、この執着を悪いと思っていないんだ。
だから、毎晩僕を刻むことにしたんだ。僕を忘れないようにずっと。