第47章 農業生活 夏 十四日目
今朝は珍しく、しとしとの雨模様。山の朝は少し冷えた。温かいリヒトに無意識に擦りよってしまうのは仕方ないと思う。
微睡む時間の中、あちこちにキスされ意識が浮上した。
「んっ・・・朝?」
「おはよう、莉亜。寒い?」
「おはよ、リヒト。ちょっとだけ寒い。服を着て寝れば良かった。」
何気に言えば、リヒトに抱き締められた。
「どうしたの?」
「莉亜が寒いって言うから。こうやって僕にくっついていれば温かくない?」
「うん、温かい。」
リヒトにスリスリしていると、次に続けられた言葉で私は固まった。
「じゃあ、服は着なくても大丈夫だね。」
「うん?」
「何なら・・・もっと、火照ってしまうようなことしちゃおうか?」
どんなこと?なんて、聞かなくとも分かる。
「リヒト?」
「どうかした?」
「た、たまには、お休みの日があってもいいと思うんだけど。ほ、ほら・・・体力使うし・・・その・・・。」
ねぇ・・・そんな悲しそうな目で私を見ないで。
「莉亜は・・・嫌だったの?」
「ううん。そうじゃないよ。」
「じゃあ、いいよね?僕は毎日でも莉亜が欲しい。その・・・た、たまには程々に抑えるから・・・ダメかな?」
そんな事言われたら、ダメだなんてとても言えない。私だって、嫌なわけじゃないし・・・。
「ダメじゃないよ。」
「良かった。」
物凄くホッとした顔で言われてしまって、もうこの事は言えないなと思ってしまった。
「服、持って来るから待ってて。」
ベッドから一糸纏わぬ姿のまま、出ていったリヒト。だから、目のやり場に困る。そんなに堂々とされていると。
でも、リヒトの腹筋が大好きな私は、つい・・・そう、つい見ちゃう。そして、リヒトは見られていることに気付いているし、恥ずかしそうにもしない。
下はちゃんと履いているけれど、上半身はシャツを羽織っただけの姿。神々しい腹筋がチラチラと見えてます。
「莉亜、服を持って来たよ。」
そして、丁寧に着せてくれるんだ。自分で着られるんだけどな。薄手の上着まで着せてくれて、肌寒さ対策。
「あ、ボタン留めてくれるんだ。ありがとう。」
リヒトの体が冷えてしまう。同じように上着を着てはキッチンへと向かった。朝食はリゾットと温野菜。そして、具沢山の根菜スープ。今朝もリヒトの作ってくれるご飯が美味しい。