第46章 農業生活 夏 十三日目
優しく撫でられる髪の感触で、私は目を覚ました。目の前には、リヒトの顔があった。微笑まれては、キスされる。
「おはよう、莉亜。今日も可愛いね。」
「おはよう、リヒト。何か・・・ご機嫌?」
「うん、まぁね。」
機嫌がいいのはいい事だ。キスを堪能してから、一緒にシャワー。綺麗に洗って貰い、キッチンへと行く。
今朝の朝食は和食。ホッとさせられるメニューだ。ケビンの配達をリヒトが手伝い、私はその間も食事中。
そして、今日はやたらと髪を撫でられ、時折、頭にキスされる。甘い時間だ。
「莉亜。」
「ん?」
リヒトを見上げれば、触れるだけのキスをされる。どうしたんだろう・・・物凄く、ハニートーストに練乳かけたみたいに甘い。つい、私だって・・・リヒトに寄りかかったり、服を引っ張ったり・・・。
「可愛い・・・莉亜。」
蕩ける微笑みを向けられる。
「そろそろコーラルが来ると思うよ。」
「えっ?でも、結果なら・・・。」
受け取った書類を熟読して、コーラルには手紙を書いた。如何に、良く纏まっていたかを。
「会いに行った方がいいかな?」
「莉亜一人で会いに行くつもり?それは、嫌だけど。」
ニッコリ笑顔なのに、不快感を感じさせるリヒト。一対一で会うことは、絶対に拒否する。あの人の事を、今でも気にしているのかもしれない。
「リヒトがコーラルさんが訪ねて来るって言うなら、私は待つことにするね。その時は、傍に居てくれる?」
「勿論だよ。」
ま、いいか。リヒトが嫌がるのに、無理にこちらから会いに行く必要もないし。私はリヒトの首に腕を回して、唇を重ねた。躊躇なくそれに応えてくれるリヒト。
「じゃあ、行って来るね。」
「うん。気を受けて。好きだよ、莉亜。」
頬にキスして、私を送り出してくれた。水田では、チラホラと穂が実って来ていた。それを見て歓喜に沸く私。雑草を引っこ抜き、辺りを一周しては養蜂箱へと。
うん、今日の蜜蜂さんたちも働き者だ。蜂蜜ってどれくらい収穫出来るのかなあ?ちょっと頼みだ。畑に行くと、カミルが収穫してくれていた。
「おはよう、カミルくん。」
「おはようございます。通常サイズのトマトの収穫は終わりました。今は、唐辛子の種蒔きしてます。」
「ありがとう。」
ここの唐辛子は、青と赤の二種類がある。