第40章 農業生活 夏 七日目
どうやら、昨晩の私は途中から記憶がない。そして、痛い。そう・・・痛い。違和感処の話しではない。リヒトは隣りで、ニコニコしている。先に起きていたらしい。
「ねぇ・・・昨晩は、どれだけしたの?」
「うん?僕が満足するまでかな。」
それ・・・答えになってない。それに、寝ている私に容赦なしだよね。でも、リヒトが嬉しいなら許す。シャワーを浴びて身支度をし、私は作業場へと向かった。
冷凍庫を開けると、メロンと西瓜のいい香りが漂って来た。容器を取り出し、キッチンへと持って行く。
「あ、それがシャーベット?いい匂いがするね。」
「上手く固まっている様で良かった。味見しなくちゃね。」
一口目にリヒトに差し出したのだけど、それは遠慮された。作ったのが私だからという理由で。なので、お言葉に甘えて口に入れた。
「ハァンっ!!」
何か、変な声を出してしまった。
「はい、リヒトもあ~ん。」
「フッ・・・ンッ・・・美味しい。」
リヒトは色っぽかった。ごめん、残念な私で。
「ねぇ、これは一個ずつかな?作ったのって。」
私は、サッと視線を反らす。すると、ハグされた。
「で、何個?」
「・・・ひ、秘密。」
頑張って言ってみたけれど、耳を甘噛みされて早々に白旗を上げた。もう、本当にズルい。
「莉亜、何個?」
「後一個ずつ・・・と、ワインで作ったシャーベットが二つずつ?」
「どうして最後が疑問形なの。でも、そうか・・・ワインシャーベット。お願いがあるんだけど・・・。」
ワインシャーベットも持って来ました。もう、反論なんて無駄なことは諦めました。そして、これもかなり美味しかった。またしても、変な声を出してしまった私。
野菜盛り沢山のサンドイッチと、オニオンスープに野菜サラダとシャーベットが朝食です。二人でシャーベットを食べていると、恒例のケビンが来ました。
「おはよう、お二人さん。」
「「おはようございます。」」
「で、何食べてんだ?って、甘いいい匂いがするな。」
ケビンの目がシャーベットの器を凝視している。本当にブレ無い人だと思う。
「なぁ、昨日店で出たパフェって、今日もメニューに出るのか?」
「出ません。」
リヒトの間を置かない容赦ない返答に、ケビンはしょんぼり。
「クベルに自慢されたあのパフェ・・・食べられないのか。」