第39章 農業生活 夏 六日目
抱きかかえられるように眠っていた私。今朝も変わらず二人揃って裸体である。今朝のリヒトは、先に起きていた。大好きな蜂蜜色の瞳が幸せそうに細められる。
朝の熱烈なルーティンの後、シャワーを浴びる。でも、今朝は浴室でリヒトに求められ愛し合った。朝からリヒトが甘い。
その後は、恒例のリヒトの観察タイム。そう、観察・・・。至福の時間。だって、リヒトの立ち振る舞いや動きそのものさえも美しいから。
そして、今朝のメニュー。たまごパン、ポテトサラダ、きのこスープにオレンジジュース。いつものテラスで夏の匂いを感じながらも、食欲は旺盛である。
リヒトは・・・うん、仕方ないと言うか・・・私は、いつも?かもしない。リヒトの料理が美味しいからいい。残す?そんなのありえない。残すくらいなら、全部食べてその分動く!!
「莉亜、付いてる。」
どうやらたまごパンを食べた時のたまごが、口の端に付いていた様だ。ちょっと恥ずかしいけれど、それをリヒトはペロッと舐めた。
「あ、ありがとう。」
「どういたしまして。フフ、赤くなって可愛い。」
何故か、超ご機嫌である。そして私はと言うと・・・恒例の凝視。故に、このままキスされる訳で。でも、そのまま押し倒されかけて慌ててリヒトの胸を押す。
「ん?どうしたの?」
「ど、どうしたのじゃなくて、ここも一応外だから。」
「うん、そうだね。」
そうだねとニコニコしたまま、そのまま続けようとするリヒト。またしても、私は慌ててリヒトを止めようとする。
「コホン。」
二人揃って起き上がれば、そこに居たのはコーラルだった。手には分厚い書類っぽいものが。ねぇ、あれを読むの?厚みが軽く2cmはあるよね。あれ何枚あるんだろう?
あれ、いつの間にかリヒトがコーラルの目の前に立っていた。
「何か用?」
感情の起伏の欠片もない声。が、コーラルはいきなり深々と頭を下げコーラルらしからぬ、謝罪を大きな声と共に。リヒトさえも、少し驚いた顔をしていた。
「コーラルさん、それは私が言ったアレですか?」
「あ、あぁ、そうだ。どうか読んでは貰えないだろうか?」
「それを受け取ったからって、許されると思わないでくれ。」
リヒトの言葉に、コーラルは真面目は顔をして頷いた。それは、最もだと言わんばかりに・・・。
そっか・・・アレ、読むのか。