第38章 農業生活 夏 五日目
見回りは滞りなく終わり、畑で収穫に取り掛かる。今回はトマト。そう、大量である。その大量を出荷箱にリヒトが運んでくれた。水分補給として、二個ほど試食してみた。
「んっ、美味しいね。トマトは、連作だよね。次の収穫の時は、店にも少し多めに回して貰おうかな。ピザにも使うから、トマトソースを作りたい。」
「うん、いいよ。次は温室に行こう。」
温室では、巨大なマンゴーが実っていた。そう、巨大だ。リヒトがせっせと収穫しては出荷している。私はと言うと、オレンジの収穫だ。真ん丸で美味しそうな色濃いオレンジだ。
やっぱり、試食しちゃうよね?こんなに美味しそうなんだから。皮を剝いて見れば、中身もとても美味しそうな濃いオレンジだ。直ぐに口に入れる。
「んんんんっ!!」
言葉にならないジューシーさと甘さ。リヒトのところに駆け寄って、一房口に入れてみた。
「んんっ!?すっごくジューシーだしとても甘い。僕はこれを絞って飲みたい。体にも良さそうだね。」
と言うことで、ランチに採れ立てのオレンジジュースも付くことになった。しっかり、二人で完食してから、家に戻ってシャワーを浴びた。
髪を乾かし、いつもの緩い三つ編みをしようとしているリヒト。
「私が編んでもいい?」
「え、いいの?じゃあ、お願い。」
私はと言うと、しっかり編み込みを緩くやってみた。リヒトが美しい。編み込みも似合う。
でも、私ってロン毛は好みじゃなかったんだけど、リヒトは別枠だ。似合うし綺麗な髪だし、切るのは勿体ないと思う。
「ありがとう。お昼はスープパスタにするよ。サラダ頼んでいいかな?」
ビタミン豊富なランチメニューだ。サッパリした中に、サラダチキンがゴロゴロと入っている。そしてオレンジジュースは、最高だった。
さて、食事の後は、商店街へとデートだ。二人で手を繋いで、歩いていく。時折、爽やかな風が吹き抜ける。
宿屋の前を通りかかると、忙しそうにレントが働いていた。繁盛しているようで何より。私たちに気付いた様だったので、手を振っておいた。ニッコリと笑ってくれたから、少し嬉しい。
そして、ポップコーンの店でクレアと少しお喋りをした後、シェリーがいる医院へと訪ねた。
「あら、莉亜ちゃん、リヒトくん。いらっしゃい。ひょっとして・・・おめでた?」
何ってことを言うんだ、この人は。