第25章 農業生活二十四日目 後編
今日のランチはピタパンに根菜スープ、野菜サラダと筍のフライだった。学んだ私は、筍のフライは冷ましてから食す。
「偉いね、莉亜。ちゃんと覚えてたんだ。」
「子供扱いしてない?」
「ん?それは心外だな。いつだって、僕にとって莉亜は唯一無二の大切な女性だよ?」
今、角砂糖吐いた。そんな憂いを帯びた目で、私を見ないで欲しい。それに、私の頬を撫でないで欲しい。いや、触れられるのは全然オッケーだ。
「ん?リヒトっ!!」
チュッとリップ音を立てては、キスするリヒト。
「僕をじっと見てるから、キスして欲しいんだよね。あれ、違った?」
「ち、違わなくもないこともないけど・・・。」
「あぁ、もっとってこと?」
あれ、どうしてこうなった?肩を抱き寄せられ、顎を掴まれて思いっきりキスされてる。貪られてるんですけどっ!!
リヒトとのキスが気持ち良すぎて、ついリヒトにしがみついてしまう。不可抗力だよね・・・。抵抗出来ないのだから。
「フフ、可愛い・・・僕の莉亜・・・いっぱい、キスしてあげる。」
って、いつもここで邪魔が入る・・・。入る?・・・・・・入らなかったっ!!
その後・・・リヒトの膝の上で、リヒトからご飯を食べさせられました。私はリヒトにしがみついている。あ~、イケメン万歳である。
そして、やって来ました。初の役場です。建物の中には、コーラルだけがいました。難しい顔をしては、何やら書類に目を通しています。リヒトが声を掛けると、難しい顔のまま近付いてきた。ちょっぴり、怯んでしまいます。
「忙しそうだね、コーラル。」
「あぁ、直ぐに気付かなくてすまない。それで、要件は?」
「今の村の状況のことだよ。」
リヒトの言葉に、コーラルの切れ長の目は更に細められ、小さく溜め息を吐いた。そんなコーラルに、ハチミツキャンディーを差し出した。疲れている時には、甘い物がいい。
「これは、ハチミツキャンディーじゃないか。これを俺に?」
「以前、好きだって言ってたから、差し入れにね。遠慮せずに、受け取ってよ。」
「あぁ、ありがとう。」
進めると、直ぐに一粒口に入れた。少しだけ表情が緩んだ気がする。ほんとに微かにだけど。リヒトから聞いていなければ、気付かない変化だ。
「・・・これは美味い。それに、見た目も美しいな。」
「莉亜が作ったんだよ。」