第20章 農業生活二十日目 R18
「兎に角、本当にごめん。泣かせてしまったお詫びに、何でもいうこと聞くから。」
「何でも?」
「何でもいいよ。」
何でもと言われても、思いつかない。今の不自由さは、私のことを案じてのものだと分かっているし。他のことは、リヒトは大抵は反対しないもの。いつだって、大事にしてくれている。
でも・・・。
「リヒトはいつも私のことを大事にしてくれてる。だから、それと同じくらいリヒト自身も大事にして欲しい。」
リヒトの目が見開かれた。
「ダメかな?」
リヒトは小さく息を吐いた。
「まさか、そんなことを言われるとは思わなかったよ。でも、いいの?」
「えっ?」
「僕が僕の願いに従順になったら、莉亜のこと毎日抱き潰しちゃう事になりそうだけど。だって、今は莉亜が大事だから我慢出来ているのだからね。それに、莉亜がさっき思っていたこと・・・そんな日は永遠に来ない。断言できる。でも、莉亜はそこまで理解していない。だから、もっと僕の本気を知って貰わないといけないな。」
・・・言葉になりません。今まで、我慢してたの?そうなの?
「今まで義務くらいにしか思わなかったんだよ?肌を合わせること。元々、そう重要視してなかったんだよね。だから、抱きたいって思ったのは初めてで、今はその思いを持て余しているくらいなのに・・・そんな僕に、どれだけ嬉しいご褒美くれるの?」
ご褒美って言ったっ!?
「でも、莉亜が望んだんだから・・・僕は、ちゃんと約束守るからね。」
リヒトの目が、捕食者のようになってる。甘いとかの次元じゃない。全部貪りつくされそうな気がする。そういうつもりで言った訳じゃなかったのに。
今日の夜が怖い。
「楽しみだなぁ・・・これからの毎日が。」
夜だけじゃなかったっ!!
「どうすれば、無駄な心配しないでいいって分かって貰えるかな。」
絡められた指先が、リヒトの口元へといく。リップ音を立てた後、ペロッと舐められた。
でも・・・今までの彼女ともそういうこと・・・。義務って、そんな風に思ってたの?それでは、彼女が不憫。
「分かってる。悪いことしたと思ってるけど、向こうから誘われたら仕方ないしね。それでも、一度も満たされた事なんてなかったけど。」
空しそうに言い放つ、リヒトにもう何も考えられなかった。今までの彼女は、どう思っていたんだろう。ちょっと切ない。