第19章 香水
年が明け、慌ただしかった日々がようやく終わり。
だいたい定時頃には帰れるし、
休日出勤なんてしなくていい日常が戻ってきた。
幸せだ。
そして週末、日曜日
黒尾さんとデート。
ランチを食べて、ウィンドウショッピング。
冷たい風が吹く中だけど
黒尾さんと手を繋いで、話しながら歩くだけで楽しいから不思議。
「あ、ちなみに俺の香水ここのよ」
あるお店の前で立ち止まる。
あ、知ってる。
だけど入ったことはなかった。
「そうなんですね!見たいです!」
そう言う私に、行こうって手を引いてくれる黒尾さんについて
そのまま店内へ。
俺のは~コレって。
教えてくれた香りをかぐと、よく知っている黒尾さんの香り。
「あ、やっぱり一番人気なんですね!」
「ね?」
「いいな~。私も欲しいなぁ」
無意識に漏れた言葉。
「じゃあ今から奈々のを選ぼう」
別の香りをテスターにシュッと吹きかけて。
「あ、これもいい香りですね~!」
そうやって二人でいろんな香りを試していると。
「うちの香水は基本的にユニセックスですし
あと、重ね付けもおすすめなんですよ」
ショップのお姉さんが、それぞれの香りと2つの香りを重ねたテスターを渡してくれて。
「あ!本当だ!
もっといい香りになるんですね~!」
「そうなんですよ。だからいくつか持ってらっしゃる方も、けっこう多いんですよ~」
へぇ~。
ますます魅力的。
「重ねやすい、ベースになる香りで人気なのは~
これとかおすすめです」
「あ」
黒尾さんの香水。
「私もこの香り好きです」
チラッと黒尾さんを見ると、少し照れた感じで笑ってる。
いろんな香りを試したけど、やっぱり黒尾さんの香水が一番好き。
単純に、香り自体もすごく好み。
おそろいに、したい………