第14章 12月(翌朝)
目が覚めると部屋の中は薄暗かったけど
遮光カーテンの隙間からうっすらと光が漏れていて、朝が来たことを認識する。
時間を確認すると、7:25
体に心地よく感じる重さ。
黒尾さん、ずっと抱きしめててくれたのかな。
そう思うと、口元がゆるゆると緩む。
後ろから抱きしめていてくれる黒尾さんを起こさないように
ゆっくりと体の向きを変える。
朝起きて、隣にいるのも最初に顔を見るのも好きな人って。
こんなにも幸せな気持ちになれるのか。
よく見ないとわからない程度だけど、うっすらと髭が見える。
この距離だからわかること。
結局あの後は本当に寝た。
というか、気付いたら今だった。
あんなにドキドキしていたのに、おやすみと言って目をつぶれば。
寝つきはかなりいい方だけど、
あの状況でも一瞬で寝てしまう自分には感心してしまう。
黒尾さんの頬にそっと触れてみる。
「………ん」
黒尾さんから小さく漏れる声。
「くおろさん」
同じくらい小さく呼んでみる。
もちろん反応はない。
黒尾さん、寝てるし………
今度は私から抱きついてみる。
黒尾さんって細そうだなって思ってたけど
抱きついてみると思ったよりもガッシリとしていて。
一人で勝手に照れてしまった。
黒尾さんの規則的な寝息が心地良くて
もう一度目を閉じる。
今日はもう少し寝ても、バチ当たらないよね。
だって一応休みなんだもん。