第13章 12月(夜)
「あーーーもう。
てか佐藤ってほんと意外だわ」
「そうですか?でもそうかもしれませんね。
だから最初に言ったじゃないですか。会社の私とは違いますよ?って」
「ウン。すごくいいと思いマス」
「ありがとうございます。
てか黒尾さん、佐藤って言ってるの気づいてます?別にそれでいいんですけど」
「え、俺佐藤って呼んでた?」
「はい」
「すっげー無意識だわ。
早く当たり前に奈々って呼べるようになんなきゃな~~~」
「その顔ズルイです」
「どの顔?」
「イタズラっ子見たいな顔」
「イタズラっ子って(笑)」
「だって黒尾さん、会社じゃそんな顔しないじゃないですか」
「そりゃ会社だから」
「黒尾さんがそんな顔するなんて、知りませんでした」
「奈々だけが知ってるってことで?」
「…‥……悪くないです」
当たり前だけど、初めての黒尾さんばっかり。
「今から、思ってること言ってもいいですか?」
「どうぞ」
「なんか、恋するってこんなに楽しいんだな~って思ってます」
私の言葉にちょっとびっくりした顔。
「………なんで?」
「元彼の話、ちょっとだけしてもいいですか?」
「どうぞ」