第12章 12月(晩酌)
無言の佐藤もやっぱり可笑しくて
洗面所に向かう。
「開けるぞー」
って俺の呼びかけに対して返事はなかったから
開けた。
「なーんだ。やっぱり変わんないじゃん」
「それはそれでどうかと思いますけど……」
「でもちょっと幼い感じになるんだね。可愛い」
バスタオルで口元を隠しながら、上目遣いで見てくる。
ウン。
そして俺のスウェットを着ていて、当たり前に大きい。
これが世に言う萌え袖デスか?
世の中で騒がれるだけのこと、あるなーーーー。
はぁ。
「ほらほら。クロオさん飲み足りないから、乾杯しよう」
「………はい」
渋々俺に手を引かれる佐藤を洗面所から連れ出す。
そして冷蔵庫からお酒の缶を取り出して。
「はい。どーぞ」
「ありがとございます」
缶を開ける軽い音が、2回。
部屋の中に響く。
「私この音好きです」
「缶開ける音?」
「はい。今日頑張りましたー!って感じで」
「家で一人で飲むの?」
これまたなんか意外。