第11章 12月(はじめての)
「やっぱりすごいですね~。本当に一通りそろっちゃった」
「ね。ドンキ近所にあるのはほんと便利よ」
「いいな~。通勤的にもこの辺便利そうですね!」
「まぁね。電車一本で行けるしネ。
てか今日原田と飲みに行く約束してたの?」
「あ、いえ。本当はまだ残ってたんですけど、2人で会社出てきちゃいました」
「今週も忙しかったしね」
「黒尾さんと比べると全然ですけど」
「いやいや。俺たちが夕方から出て行く分、佐藤たちに負担がいってるんだよな。ゴメンな?」
「今日会えたからいいです!」
出来るだけ言葉にして、正直に。
私が恋愛で気を付けてきたこと。
「………なんか意外だよな。ウン」
「ん?何がですか?」
「いや、佐藤ってもっと恋愛に対して淡白なのかと思ってた」
「あ、スミマセン。
……そういう風になれるように頑張ります」
「いや、違う違う!今みたいに、いろんなこと素直に言ってくれる方が嬉しいよ!
まだそれに俺が追いつけてないだけ」
「じゃあ早く追いついて下さい」
「努力します」
それからお互いこの一週間の報告会。
半分以上仕事の話だったけど、2人で手を繋いで歩いてるだけで
仕事の話でも許せるから不思議。
それ以上に、黒尾さんと手を繋いで歩いてることが不思議で。
ただ、たまに一瞬だけだけど。
ずっと前から一緒にいるような
そんな風にも思ってしまうようなこともあって。
やっぱり不思議だなって思った。