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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第11章 12月(はじめての)


少し遅れそうだから待っててと言われて、駅の角の柱の横で黒尾さんを待つ。

この駅で降りたのは初めてだけど、私が利用する最寄駅と大差はない。


だけど、毎日黒尾さんがこの駅を利用してるのかと思うと、なんだかそわそわした。



スマホが震えて通話をタップする。




『ごめん、お待たせ。出てこれる?』


「あ、はい」




ほとんど出口にいたようなものだから、少し歩きながら黒尾さんを探す。


というか人はまばらであんなに背が高い人、すぐに見つかると思うのに

なかなかそれらしき人がいない。




『あー!左!』


「左?え?」


『手振ってるけどわかる?』


「………あ!たぶん!」




赤い自転車に乗った男の人が、ゆっくりとこっちに近づいてくる。




「ごめん。お待たせ」


「いえ、こっちこそ出てきてもらってスミマセン。

てか黒尾さん、髪下ろしてるの、初めて見ました……」


「風呂入ったからね」




お風呂上がりらしい黒尾さんは、いつものセットされた髪型とは違う。

その色気が半端じゃない。


思わず見惚れてしまう。




「てかゴメンな。車で来れたらよかったけど、飲んでたから。

って、本当はチャリも乗っちゃいけないんだけどな。内緒な?」




内緒な?って言いながら、今度は会社よりもっとイタズラっぽく笑う

初めて見る顔。




「ってことで、駐輪場停めてくから、こっちいい?」


「持って帰らないんですか?」


「あ、ウン。すぐ取りに来れるし」


「なんかすみません。てかロードバイクかっこいいですね!」


「お。佐藤、ロードバイクってわかるんだ」


「あ、はい。私も欲しかったので。

ただ街乗り考えて結局クロスバイクにしたんですけど」


「へぇ~!けど女の子はクロスバイクの方がなんか安心。

ってかその前に佐藤がこういうチャリに興味あったのが意外」


「最近流行ってるじゃないですか。

私カッコいい大人になりたくて、入社のタイミングで買ったんですけど。とりあえず形から入りました(笑)

でも黒尾さんのロード見たら、やっぱりカッコいいな~。

次買い換える機会があれば、今度はロードにしようかな~!」


「いいんじゃない?ちょっとコツいるけど。

その時は俺も一緒に選びに行ってもいい?」
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