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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第9章 海(帰り道と翌日)


「佐藤?」



「はい?」





呼び止めた後、頭を引き寄せて


キスをする。




まだ、触れるだけ。





そして唇が離れて、ゆっくりと目が合ったあと。





「………人に、見られます……」





伏し目がちの佐藤の表情に、街灯の光でまつ毛の影が出来ていて。

キレイだなって。





「ダイジョウブ。誰もいないから」



「確認、したんですか?」



「もちろん」



「………もう」





グーにした手で軽く胸を叩かれることにも、というか全てに

やっぱり、愛おしさしか感じない。





「イヤ?」



「イヤ、じゃないです。

………帰りたくなくなっちゃうから、困ります」





ちょっと待って。



なにそれ。




………ちょっと待って?!





「んんん。いや、俺もだけど。今日は、ウン。

帰ろう。


………ね?」



「帰ります!じゃ!ほんとに!ありがとうございました!」





今日1番の元気良さで勢いよくドアを開ける佐藤に、一瞬呆気に取られる。


エントランスまで走って、振り返って手を振る佐藤に手を振り返して。



ちゃんと中に入っていったことを確認して。





「はぁ~~~~~~」





思わず声を出しながら、ステアリングに腕をおいて身体を預ける。




いや、ウン。


なんか色々とあった1日だった。




いや、本当に。



ただ、最後のアレ。

なに?!?!



まだ一緒にいたい、別れ難かった俺へは刺激が強すぎる。




いや、よくちゃんと帰しました、俺。

まじで自分で自分を褒めるわ。
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