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【ハイキュー】思い出すのは、いつも【黒尾鉄朗】

第9章 海(帰り道と翌日)


ウィンカーを点滅させながら、佐藤のマンションの近くのコンビニに入る。



日が暮れて海を出て食事して

今朝ここでお茶を買ってから、まだ10時間くらいしか経っていないのに。


すでに遠い昔のことのように感じる。





「運転、ありがとうございました」



「どういたしまして」



「あと、今日。もう何からお礼を言えばいいのかわからないけど。

ありがとうございました」





俺の方を向いて頭を下げる佐藤の頭を、ポンポンって。





「全部俺がやりたかったことだって言ったよね?忘れた?」



「……覚えて、ます」



「そ。ならよかった」



「あ、あとひとつ。大切なこと言い忘れてました。

私、いろんなこと忘れがちです」



「ウン。なんとなく知ってる」



「最初に謝っておきます。すみません」





そう言いながらもう一度頭を下げる佐藤を、今度は優しくなでる。

あぁ、愛おしさが溢れ出してくる。





「その時は正直に謝ってくれればいいデス」



「そうさせていただきます。……じゃあ」





挨拶をしてドアに手をかけた佐藤の腕を、ついつかんでしまう。





「黒尾さん?」



「あーーーー。やっぱマンションの下まで送ってく」



「じゃあ、ありがとうございます」





別れるのが名残惜しくて。

マンションなんてすぐそこなのに。



それでも。





「ウン。夜道は危ないからね」





下心は隠して。


だけどやっぱり、あっという間にマンションの前に着く。





「今日本当にありがとうございました。

黒尾さんも帰り気をつけて下さい」





笑顔でありがとうございましたって言う佐藤と別れるのが

やっぱり名残惜しくて。
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